名大病院の活動について

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若い世代の療養生活を全方位から支える AYA支援チームの活動がスタート(「名大病院かわらばん」129号)

名大病院では若い世代の患者さんを支える「AYA支援チーム」が発足し、活動をスタートさせます。活動の意義や内容について、チームのメンバーである小児科の高橋義行教授、消化器外科の栗本景介病院助教にお話を伺いました。

多様な悩みを抱える若年層を支援するために

皆さん、「AYA(アヤ)」という言葉をご存じですか?AYAとはAdolescent Young Adultの略で、15歳から39歳位の世代をさします。AYA世代は、小児に多いがんと成人に多いがんの両方にかかる可能性がある上、進学や就職、結婚、出産、子育てなどのライフイベントも待ち受けています。がんの治療だけなく、学校や職場復帰の問題、恋愛や家族といった悩みなど、多種多様な、大きな課題に直面する患者さんも少なくありません。そのため、患者さん個々の状況に合わせた周辺支援が必要とされるようになり、欧米では既に取り組みが進んでいます。日本においても、がん対策推進基本計画や、小児がん拠点病院およびがん診療連携拠点病院等の指定要件にAYA世代への対応が盛り込まれています。

名大病院では、早くからAYA支援の重要性に注目し活動してきました。しかし、これまでは小児科や一部の成人診療科での個別の取り組みが中心で、不慣れな診療科では対応が不十分になる可能性がありました。そこで今回、病院全体の枠組みとして、ワンストップでAYA世代を支援するチームを結成しました。

多職種でチームを組み、全科横断的に活動

AYA支援チームは医師、看護師、医療ソーシャルワーカー(MSW)、チャイルドライフスペシャリスト(CLS)など多職種の有志から成り、各専門職が連携してきめ細かな支援を提供します。当院は2013年に小児がん拠点病院に選定された頃から、多職種による支援を行ってきた基盤があり、支援チームもそれを発展させて活動を行います。

今回は、まずAYA世代のがん入院患者さんを対象に、スクリーニングシートを用いて療養の悩みなどを把握するシステムを構築しました。そこで問題があれば病棟で対応し、必要に応じてAYA支援チームが介入します。支援チームは全科横断的に活動し、問題に対応できる部署につなぐハブとしての役割を担います。

AYA支援をリードし、療養生活でも選ばれる病院に

AYA世代の患者が少ない科では、AYA世代特有の課題や悩みに気づかないことがあるかもしれません。その点、支援チームには、子どもに寄り添うCLSや社会復帰を助けるMSW、心の専門家である臨床心理士も参加し、疾患以外の悩みを相談しやすい体制です。産婦人科の医師もメンバーの一員であり、精子や卵子の保存など妊孕性温存の相談に対応しています。支援チームを通じてAYA世代への対応のノウハウを各科と共有することで、高度な医療だけでなく、療養生活でも「名大病院で良かった」と言ってもらえる病院を目指していきます。

AYA支援は現在、患者サービスの一環として行われていますが、その重要性が認識されつつあり、愛知県でも徐々に気運が高まってきました。当院は地域の拠点病院としての気概をもってAYA支援でもリーダーシップを取り、地域に活動を広めていきたいと考えています。

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AYA支援チームのみなさん                                           ▲お話を伺った高橋教授(左)、栗本病院助教(右)

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「名大病院かわらばん」129号 PDFファイル・目次

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<目次>

・若い世代の療養生活を全方位から支えるAYA支援チームの活動がスタート

・新任のご挨拶

・新生児・小児用ドクターカーの披露会を開催

・ミニニュース「令和4年度洋上救急慣熟訓練を実施」「令和4年度病院災害訓練を実施」

・健康講座「多血症について」

・病院からのお知らせ「提案書からの改善報告」

・ナディック通信

・特定基金 医学部附属病院支援事業へのご協力のお願い

・禁煙のお願い

・ かわらばんHP のご案内


「名大病院かわらばん」について     

当院では、病院の活動を広く院内外にお知らせするために『名大病院かわらばん』を発行しており、以下のURLからご覧いただけます。

https://www.med.nagoya-u.ac.jp/hospital/outline/publish/

※『名大病院かわらばん』は、当院における積極的な取組事項等を中心に掲載した季刊誌です。
※上記ホームページには、第58号(2006年1月発行)分から掲載しております。