名大病院は希少がんの情報を提供する「希少がんセンター」に、専用の相談窓口「希少がんホットライン」を開設しました。センター長の小寺泰弘教授に、センター設置の背景やホットラインの取り組みなどについてお話を伺いました。
希少がんとは、年間の罹患率が、人口10万人当たり6名未満のがんと定義されています。希少がんの種類は幅広く、頭頚部のがんや十二指腸がんといった「〇〇がん」と名のつくもののほか、肉腫や脳腫瘍などの悪性腫瘍も含まれます。
こうした希少がんの割合は、がん全体でみると15%を占め、実は多くの患者さんがいらっしゃいます。ところが、個々の症例が少ないためデータ不足で薬剤がない、治療法はあっても保険適応外といった場合が多いのが現状です。そのため希少がんが疑われる患者さんを診る場合、各病院の医師は自身で文献や海外の症例を調べて、治療にあたるほかありませんでした。しかし、個々の医療機関で対応するには限界があるため、国も希少がんに関する取り組みを推進しています。
私自身は、国のプロジェクトである希少がんの診療ガイドライン作成に携わってきました。その活動の中で、専門家同士がつながることで情報が集まるようになり、少しずつではありますが希少がんに関する研究が進んでいます。こうした動向を踏まえ、当院では全国でも先駆け的に、希少がんに関する適切な医療情報を提供し、診療科を越えて希少がん患者さんに対応する「希少がんセンター」を設置しました。
8月には、患者さんやご家族、医師からのご相談を受け付ける専用のホットラインも開通し、本格稼働しています。お電話をいただくと、センターの医師や看護師、院内の診療科が連携して対応を検討し、患者さんやご家族に適切な医療機関や専門医をご紹介するほか、ニーズに対応したサポートを提供します。また、当センターでは今後、患者さんのご家族向けに公開講座や医療関係者向けの研修会なども企画し、情報発信を行っていく予定です。
当センターでは各診療科が横断的に対応する体制を確立し、ホットラインへご連絡いただければいつでもご相談に応じています。もちろん、症例によってはデータがなく情報提供が難しい場合もあるでしょう。しかしながら、当院が地域の中核病院として情報の集約・発信センターとなることで、希少がんの患者さんやご家族が治療法を探し回ったり、医師が治療に困ったりというケースを少しでも減らし、患者さんやご家族、地域の医療機関をサポートしたいと考えています。
珍しいがんと言われて治療法が見つからない、病院に行ったがどんな病気なのか診断がつかない、調べても治療法がよくわからないなど、不安を覚えたときはホットラインへお電話ください。お気軽にご相談いただければと思います。
<目次>
・ 専用相談窓口「希少がんホットライン」を開設。希少がんの情報を地域の患者さんや医師へ提供します。
・ 新任のご挨拶
・ 診療科レポート「脳神経外科」
・ 病院からのお知らせ
・ 鶴舞公開講座
・ ナディック通信
・ かわらばんHP のご案内
当院では、病院の活動を広く院内外にお知らせするために『名大病院かわらばん』を発行しており、以下のURLからご覧いただけます。
https://www.med.nagoya-u.ac.jp/hospital/outline/publish/
※『名大病院かわらばん』は、当院における積極的な取組事項等を中心に掲載した季刊誌です。
※上記ホームページには、第58号(2006年1月発行)分から掲載しております。
<目次>
・ 専用相談窓口「希少がんホットライン」を開設。希少がんの情報を地域の患者さんや医師へ提供します。
・ 新任のご挨拶
・ 診療科レポート「脳神経外科」
・ 病院からのお知らせ
・ 鶴舞公開講座
・ ナディック通信
・ かわらばんHP のご案内