病院からのお知らせ

病院からのお知らせ

もどる


病院総合情報システムにおける医用画像欠損について

2022年 11月 4日

 名古屋大学医学部附属病院で稼働している病院総合情報システムに保管されている医用画像の一部においてデータ欠損による不具合があり、欠損した医用画像については表示・閲覧ができない状態であることが判明しました。
本件は、2019年3月に院内から特定の医用画像で閲覧できない障害が報告がされた為、画像データの状況確認と原因調査を開始しました。本障害は、他にも欠損した画像データが存在する可能性があったため、すべての医用画像を対象として調査を進めました。その後2020年2月に同様の障害で2件目の報告があり、調査状況に対応した調査用プログラムの開発・見直しを実施、最終的に院内で稼働する病院総合情報システムを構成する医用画像保管装置(開発元:キヤノンメディカルシステムズ株式会社、以下、「画像保管装置」といいます。)に保管する2000年から2021年までの全医用画像約6億枚について調査を行いました。
 データ欠損による不具合があった医用画像は、調査により2014年以前に撮影された放射線検査画像等のうち約3,585枚であることが明らかになり、バックアップデータからの復旧を検討しましたが、本院は2018年に病院総合情報システムの更新に伴い、同システムを構成する画像保管装置も更新しており、2014年から2017年の間に発生したと推測されるデータ欠損より前のバックアップデータは、旧画像保管装置の廃棄に伴い残っていない状況でした。
欠損に至った原因についても、当時の情報機器が残っていないため詳細な調査が不可能であり原因究明には至っておりませんが、画像保管装置に何らかの異常(OSの想定しえないハングアップ又は予期せぬ電源遮断等)により偶発的な障害が発生し、その際にデータが欠損・欠落した可能性が高いと考えられます。前述のとおり、当時の機器、バックアップデータが残ってない状況で完全復旧が不可能であるため、欠損した画像データから可能な限り修復処理を施しましたが(1,003枚は修復済み)、一部の画像データについては完全な修復はできずに欠損が残った状態となってしまいました。(2,582枚は欠損あり)
 データ欠損は2014年から2017年の間に発生したと推測しておりますが、検査当時に患者さんの医用画像が表示・閲覧ができないといった院内の障害報告はなく、診察・診療・診断にあたり影響はなかったこと、並びに欠損が残った医用画像について放射線科医及び各診療科医により今後の診療に影響がないことは確認しております。
 現在稼働している病院情報システム内の画像保管装置では、データの書き込み、読み込み時にデータの誤りを検出する機能を持っており、保存されているデータの整合性は保証されております。また、今後実施予定の画像保管装置を含む病院総合情報システム更新では、データ移行時にも移行データの整合性チェックを行う等の再発防止を行います。
 このたびの事象について、診療に影響を及ぼしたり、今後の診療に影響を及ぼすおそれは現時点で確認されておりませんが、病院総合情報システム(医用画像)における保存性の確保についての信頼が損なわれる重大な問題であるとの認識のもと、再発防止策を確実に講じ、再びこのようなことがないよう細心の注意を払ってまいります。