周産期

妊娠高血圧症候群を発症した方に対する
産後ケア・インターコンセプションケアの取り組み

はじめに
 妊娠高血圧症候群を発症した方は、出産後に高血圧は少しずつ改善し、多くの場合一ヶ月健診頃には妊娠前の血圧に戻ります。しかしながら次に妊娠した時には、妊娠高血圧症候群を再発する確率が15〜25%と高くなります。また、妊娠高血圧症候群を発症した方は、中高年になると高血圧、慢性腎臓病、糖尿病などの発症リスクが約2倍に高まり、またそれに引き続く脳血管障害や心臓の病気にもなりやすいことが知られています。 当院の取り組み
 妊娠高血圧症候群を発症した方に対して、産後の血圧管理の仕方、次回妊娠時の再発リスク、将来の病気のリスクについての情報提供を行っております。またこれらのリスクを軽減するための生活習慣改善についての指導や定期健診の重要性、また次回妊娠した場合の対応についてもお伝えしています。
 また、当院では妊娠高血圧症候群を発症した方で次回妊娠を考えている方(他院で出産された方でも)にはインターコンセプションケア外来の受診も可能です。詳細は当院の「インターコンセプションケア外来の開設のお知らせ」をご参照ください。次の妊娠までにできることを一緒に考えていきましょう。

医療従事者への教育システムの構築
 妊娠高血圧症候群を発症した方への情報提供や生活習慣指導を実践するためには、医療従事者自身が妊娠高血圧症候群についてしっかりと理解する必要があります。これまで私たちが行ったアンケート調査では、約1/3の患者さんには十分な情報提供ができていない現状にあります。その要因の一つに、患者さんへの情報提供すべき内容や指導の方法が分からないという声もあるため、医療従事者用の自己学習動画を作成しております。完成したものから順次アップしていきます。

助産師・看護師向けの教育動画
 ・妊娠高血圧症候群を発症した方に対する退院前の情報提供・生活習慣指導の実践  
 ・妊娠高血圧症候群を発症した方に対する産後ケア・インターコンセプションケアの実践のために  
    講義資料 

医師向けの教育動画
 ・妊娠高血圧症候群を発症した方に対する長期的なQOL向上にむけて 
〜産後ケア・インターコンセプションケアの実践〜 (準備中) 
    講義資料 (準備中)

患者さんへの情報提供・生活習慣指導用教材
 ・パンフレット(当院作成) 
 ・妊娠前からはじめる妊産婦のための食生活指針(厚生労働省) 
 ・プレコン・チェックシート(国立成育医療研究センター) 

連絡先:
名古屋大学 産婦人科 牛田貴文
E-mail: u-taka23@med.nagoya-u.ac.jp