研究室紹介LABORATORY

環境労働衛生学

KEYWORDS

  • 皮膚癌
  • メラノーマ
  • 扁平上皮癌
  • 皮膚色素異常症
  • 白斑
  • 肝斑
  • 白髪
  • 脱毛症
  • フォールドワーク
  • 疫学
  • 重金属
  • 浄化
  • ヒ素中毒
  • 健康リスク評価
  • 予防療法

HEAD

加藤 昌志

教授

LAB MEMBER

構成員名 役職 研究者総覧
田﨑 啓 講師
香川 匠 助教
岩﨑 成仁 特任講師
CHEN Dijie 特任助教
Mohamed Abdelmoneim 特任助教
DU JIAOMAN 研究員

CONTACT

Email meieisei◎med.nagoya-u.ac.jp(送信の際は◎を@に変更してください)
HP 環境労働衛生学 独自ホームページ

OUTLINE

病気が発症する原因は、遺伝子要因と環境要因に大別されます。環境労働衛生学教室では、❶分子生物学を中心とする実験医学研究と❷疫学を含めたフィールドワーク研究の両方をバランス良く用い、環境因子が遺伝子機能や発現を修飾して疾患を誘発する機構を解明し、予防・治療法を開発する研究を実施しています。
研究室に興味のある方は、気軽に、加藤 昌志 meieisei[a]med.nagoya-u.ac.jp(※[a]を@に変更)にご連絡下さい。ワクワク出来る研究の世界を共有できるかもしれません。

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研究者向け

環境が病気を誘発する機構を解析する幅広い意味の「分子毒性学研究」を実践しています。生物学を中心に据えながら、疫学を含めたフィールドワーク研究も行っています。ですから、ご自身の適性に応じた研究を実行できます。

  1. 将来、教育者・研究者として大学・研究所等で活躍を希望しておられる方
  2. 将来、研究者として企業(製薬・化粧品・食品等)での活躍を希望しておられる方
  3. 将来、分子生物学の研究者として海外留学を希望しておられる方
  4. 衛生管理者・労働衛生コンサルタントの資格取得に興味のある方
  5. WHO・厚生労働省等、国内外の医療行政での活躍を希望しておられる方

上記項目に該当する研究者及び研究者希望の方は、気軽にご連絡下さい。

医師向け

産業医は社会に求められる重要な職業です。遺伝子改変マウスに加えてLA-ICP-MS等を用いた高度な化学分析にて環境(重金属・低周波音・紫外線等)が健康に及ぼすリスクを解析することに興味のある医師の方は気軽に、ご連絡下さい。新しい道が開けるかもしれません。

大学院生向け

環境労働衛生学教室では、生物学研究から疫学研究を含むフィールドワーク研究といった幅広い分野を学習することができます。化粧品や食品が健康に与える影響について興味を持っている学生さんは、しばしば、化粧品・食品・製薬関連企業に就職していかれます。

特長

環境労働衛生学教室におけるセールスポイントは以下の6点です。

  1. 生物学を中心とする実験医学研究と疫学を含めたフィールドワーク研究に関する知識・技術を幅広く学習できること。
  2. 実験医学研究からフィールドワーク研究までの極めて幅広い分野に対応しながらも、各分野において最先端の研究知識・技術を学習できること。
  3. 大学院生や若手研究者が、研究室で進行している種々のプロジェクトに積極的に参加し、貢献することにより、短期間に多くの業績をあげることができること。
  4. 研究室内に医学・薬学・理学等、異なる分野の専門家がいるので、教室にいながら学際研究を学習することができる。
  5. 医学系研究科としては珍しく、一般企業への就職活動を支援した経験のあるスタッフがいるので、大学院生の就職に関するサポートが可能であること。
  6. 環境労働衛生学は、産業医の教育に関わる教室です。ですから、医師の方は、産業医の資格を取得すれば、非常勤産業医の兼業を行っていただくことも可能です。

RESEARCH PROJECTS

概要

「21世紀は環境の時代」とも呼ばれます。環境はヒトの健康に多大な影響を及ぼすことはよく知られており、国民の関心もますます高くなってきています。実際に、大気・水質・食品等の環境が健康に対して与える影響については、毎日のようにテレビや新聞で報道されています。環境労働衛生学は、環境が健康に与える影響を調べるとともに、環境を整え、疾患を予防する方法を開発する学問領域です。

各研究プロジェクトの概要

 下記に示すように、環境労働衛生学教室では、
①元素の健康影響、②音刺激の健康影響、③皮膚・美容科学の研究が進行中です。

①元素の健康影響

1)飲用井戸水元素汚染の健康影響(国際共同研究)

WHOのガイドライン値を越えるヒ素を含んだ井戸水を飲用せざるを得ない状況にあるヒトだけで、世界で 2億人にのぼると推測する報告もあります。慢性ヒ素中毒患者には、皮膚黒色症や皮膚角化症だけでなく皮膚癌のような命に関わる疾患の発症に関与します。本研究室では、アジアの諸国で、井戸水を採取するフィールドワークを展開しています。さらに、誘導結合プラズマ質量分析装置(ICP-MS)を用いて、井戸水に含まれる重金属濃度を測定するだけでなく、元素が健康に与える影響を、分子生物学技術を用いて解析し、健康リスク評価と予防療法の開発に結びつけています。近年では、有害元素を吸着できる安価な浄化材の開発に成功しており、ドクター食器®と名付けて、国内外への普及に挑戦しています。

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2)皮革産業に起因する環境汚染(国際共同研究)

皮革産業は、貿易額が10兆円を超える巨大産業です。皮革産業に従事する労働者を600万人と推計する報告もあります。世界の皮革製品の多くが、「クロムなめし」で作製されます。経済がグローバル化するにつれて、環境汚染を誘発するクロムなめしの工程が、途上国に押し付けられる構図が生み出されています。本研究室では、皮革産業に関連して発生しているクロム等の元素汚染と健康影響を調べるとともに、元素汚染を浄化する技術の開発を推進しています。

3)スギ花粉症と環境汚染の接点(学際研究)

スギ花粉症の急速な増加に、大気汚染が関与しているのではないかという推測がされています。しかし、両者を結びつける科学的な知見は、十分であるとは言えません。本研究室では、スギ花粉に含まれる鉛(Pb)やPM2.5に含まれる錫(Sn)が、スギ花粉症を含むアレルギー性鼻炎を増悪させる可能性を、ヒトとモデル動物で示しています。今後も、大気に含まれる元素とアレルギー性鼻炎の関係を解明して参ります。

4)食品に含まれる元素の健康影響(疫学研究)

食品には、多様な元素(いわゆるミネラル)が含まれています。本研究室では、約2800名を対象とした疫学研究(J-MICC研究)により、食品摂取・元素曝露・健康影響の相関関係を疫学的に解析する研究を進めています。

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②音刺激の健康影響

1)騒音の有害作用

騒音が難聴を誘発することは、古くから知られています。実際に、世界保健機関(WHO)は、2019年に、スマートフォンなどの携帯音楽機器で長時間、大音量の音楽を聴き続けると世界の若者(12~35歳)の半数近くに当たる11億人が難聴になる危険性が高いと警告しています。
近年、低周波音による健康障害が社会問題として、大きく報道されています。本研究室では、大音量・長時間の低周波音が内耳前庭の機能不全を誘発し、平衡機能障害(めまい等)を誘発する可能性を、モデル動物を用いて報告しています。低周波音は、標的となる臓器があることを証明し、標的臓器の機能不全を介して、健康障害を誘発する可能性があります。

2)騒音の有益な作用

本研究室では、適切な音量の低周波音を短時間曝露することにより、低周波音(sound spice®)が、内耳前庭機能の活性化を介して、めまい症や乗り物酔い等の疾患を改善できる可能性を提案しています。また、低周波音が、血管内皮に作用して、一酸化窒素(NO)を介して血流を改善できる可能性を示しています。これらの知見は、低周波音を適切に使用することにより、健康を増進できる可能性を示しています。上記の発明を、我々と一緒に社会実装を進めてくださる方がいらっしゃればと嬉しく思います。

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③皮膚・美容科学

1)肝斑(シミ)と白斑

加齢および紫外線等の酸化ストレスは、皮膚メラノサイト機能を修飾し、皮膚のメラニン産生に影響を与えることは良く知られています。本研究室では、紫外線照射部分に短期間で強い色素沈着を誘発するモデルマウスを新規に作製しました。ヒトにおいて、紫外線等により誘発される肝斑等の色素沈着は、美容上の大きな問題になりますので、本モデルマウスを用いた肝斑の発症機構の解明と予防・治療剤の開発により、皮膚科学にも貢献できると考えております。また、肝斑をはじめとする皮膚メラニン・メラノサイトの制御機構を解析し、試験管内において肝斑等 に有効な予防・治療剤をスクリーニングする技術を開発しています。さらに、細胞を用いたスクリーニング技術は、新しい美白剤を開発できる可能性があり、化粧品学への貢献も期待できます。

2)毛髪科学

加齢や酸化ストレスは、メラノサイト機能の修飾を介して、脱毛症・白髪といった毛髪機能にも深く関与しています。本研究室では、対照マウスに比較して、剃毛後に短期間で毛が生えそろう複数のモデルマウスを作製しています。さらに、複数のオリジナルの白髪モデルマウスを樹立し、脱毛や白髪に関する分子機構を解析しています。図に示すように、ルテオリン(Ltn)の外用だけでなく内服が、白髪を予防できる可能性を、白髪モデルマウスで示しています。また、近年、白髪発症機構に基づいて、試験管内で脱毛や白髪予防効果を持つ薬物のスクリーニングを進める技術を開発しております。

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MESSAGE

大学院生募集

「研究を始めてみたいとは思うけれども、どんな研究をしようか迷っておられる皆様」、「少し研究を始めたけれども、もっと異なる分野の研究に挑戦してみたいと考えられている皆様」は少なくないように思います。実際に、“自分に適したやりがいのある研究”にたどり着くには、案外難しいかもしれません。環境労働衛生学教室では、最先端の分子生物学研究から疫学研究を含めたフィールドワーク研究といった幅広い分野から、自分に適したやりがいのある研究を選ぶことができます。

名古屋大学大学院医学系研究科の大学院に進学を希望する方は、遠慮なく下記のメールアドレスに連絡を取っていただけると幸いです。
名古屋大学大学院医学系研究科 環境労働衛生学労働衛生学 教授:加藤昌志
e-mail: meieisei[a]med.nagoya-u.ac.jp (※[a]を@に変更)にご連絡下さい。

将来の活躍が期待できる分野

  1. 教育研究者
    大学や研究所などで教育研究者として活躍することもできます。実際に、環境労働衛生学教室で学位を取得された皆様が、アジア各国のトップレベルの研究機関の大学教員等として、活躍されています。
  2. 企業の研究者
    分子生物学や疫学等に関する高度で幅広い知識・技術を生かして、企業に研究者として就職することもできます。大学院生は、医薬品・化粧品・食品・環境関連企業の研究員として内定をいただくケースが多くあります。
  3. 海外留学
    本研究室は、海外の10を超える研究室との国際共同研究が進行中ですので、本人の希望があれば留学先を紹介することもできます。
  4. 産業医等の労働衛生の専門家
    医師の方は産業医として、医師以外の方は、衛生管理者・作業環境測定士・労働衛生コンサルタント等の資格を取得することにより、労働者の病気の予防と健康の保持増進のために活躍することもできます。
  5. 衛生行政
    国際保健機関(WHO)、国際労働機関(ILO)、厚生労働省、衛生研究所等で、国内外の衛生行政機関で活躍することを目指していただくことがあれば、大変嬉しく思います。

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