シンポジウム / 体験記

吉原体験記

吉原雅人
産婦人科学
2017年10月 フライブルク大学短期留学
 
 
2017年10月4日〜6日にドイツ、フライブルグ大学にて開催された、FAN Symposium(Freiburg大学、Adelaide大学、Nagoya大学合同シンポジウム)に参加致しましたので、報告させて頂きます。FAN Symposiumは、前述の3大学が、研究レベルでの交流の促進、共同研究の探求を目的として、各大学の研究者、学生を招いて開かれるシンポジウムです。僕は、名古屋大学・アデレード大学国際連携総合医学専攻に昨年の4月から入学している為、今回参加のお話を頂ききました。
 フライブルグ(正式にはフライブルグ・イム・ブライスガウ)は、ドイツの南西部に位置し、環境都市として名高い地です。大聖堂と旧市街には随所に水路が敷かれ、美しい街並みには毎年多くの観光客が訪れます。また、フライブルグは大学都市としても有名で、中心に位置するフライブルグ大学(正式にはアルベルト・ルートヴィヒ大学フライブルク)は、ドイツでは5番目に古い大学とされ、数多くの卓越した研究者を輩出し、医学部をはじめ欧州における最も権威ある大学の一つです。
 10月2日に現地に到着し、翌日3日はドイツの祝日であったため、時差を強制するとともに市街を散策しました。フライブルグ大学は駅の隣に位置し、広い敷地の中に医学部、附属病院をはじめ、数多くの研究棟が立ち並び、学術都市としての風格を漂わせていました。旧市街には美しい水路が点在し、街の中心には大聖堂が荘厳にそびえ、中世の威風を今に残す貴重な財産であるとともに、界隈には飲食店が賑わい、市民の憩いの場としての役割を果たしていました。郊外の小山からは、広大な農地や牧草地帯が広がり、ヨーロッパの風情ある丘陵地帯が一望できました。(写真2枚)
 4日、5日はフライブルグ大学にて、Christoph Peters先生の采配のもと、Thomas Reinheckel教授の研究室の見学をさせて頂きました。癌におけるプロテアーゼ、特にカテプシンの役割をテーマに、動物モデルを使用した実験を主に行なっていました。ゲノム編集やオミクス解析など、先端の技術を駆使しながらも、プロテアーゼという生化学の基本的かつ最も重要な蛋白質群の研究は、まさに王道とも言えるテーマです。治療応用の可能性も高くトランスレーショナルな側面もあり、先生方の視野の広さと展望の正確性に感銘を受け、とても良い刺激となりました。今後、アデレード大学と同様、名古屋大学と正式に提携し、新たなジョイント・ディグリー・プログラムが誕生する予定です。今後、当教室からも候補生が入学し、フライブルグ大学との共同研究が実現することを期待しています。
 6日は、FAN Symposiumに参加し、自分の研究を発表させて頂きました。
シンポジウムの後は、大聖堂に隣接するレストランでの懇親会に参加致しました。アデレード大学の大学院生と話す機会もあり、現地の生きた情報を得ることができました。内容も興味深いものでしたが、何にも増して感じたのは、英語でのコミュニケーションの難しさでした。英語圏のボーダーレスな文化を背景とした表現や姿勢は、長期間の海外生活経験のない僕には受け入れ難い部分があることは否めませんでした。来年1月からのオーストラリア留学への不安要素ではありますが、自分の課題がはっきりと見えたことは大きな収穫であり、克服できるよう努力しようというモチベーションにつなげたいと思います。全体を通して、得るものの非常に多かった渡航となりました。今回の経験で感じ学んだ事を同輩へと還元し、当教室の発展への一助になれば幸いに思います。
 最後になりましたが、このような機会を与えて下さいました名古屋大学の先生方、渡航の手続き等を支えて下さいました国際連携室のスタッフの皆様に心より感謝申し上げます。今後とも精一杯精進して参りたいと思います。ありがとうございました。






 
 
ページトップへ