名古屋大学大学院医学系研究科 糖尿病・内分泌内科学

医局員の体験談

大学院生活を振り返って

恒川 卓 (助教)

皆さんが日常臨床をしていて、病因が分からないとか良い検査法や治療法がないといった問題を感じることは多いと思います。そのような問題を解決していくのが研究です。では研究にはどのような手順が必要なのでしょうか?
大学院生活のメインは新しい知見を証明するための研究です。新しい知見は、実験しデータをまとめ論文として報告するという手順を通して初めて世界で認知されます。また国内や海外の学会に参加し発表も行います。最初はイメージが湧かなくても、研究の一連の手順を味わうことで医学というものの見方が大きく変わることが実感できると思います。
臨床でも困難な問題が立ち塞がることは多いですが、研究ではそもそも答えが存在するかどうか分からないことに立ち向かうことになります。何ヶ月と行った研究の結果が出ないこともあります。その中で何とか道を切り開こうと考えを張り巡らせることで問題対峙能力がつきます。答えがないことに立ち向かうわけですから、指導医に相談し、自分の同年代の先生方と励ましあいながら、多くの人の助けを経てゴールを目指します。こうした生活の中で作られた繋がりは今後医師として仕事をしていくにあたり大切な礎となります。
また大学院生時代には外勤として様々な場所で働きます。病院だけではなく、企業の診療所、クリニックの外来、産業医などです。総合病院から出て診療や指導を行うことは貴重な経験となります。
臨床面においても、大学病院では稀な疾患を診る機会が多く専門医も多数在籍しますので勉強になることが多いと思います。また研修指定病院でもありますので、在学中に専門医も所得することができます。私は卒業までに内分泌代謝科専門医、糖尿病専門医、甲状腺専門医を所得しました。
現在当科では基礎研究、臨床研究のどちらも内分泌および糖尿病に幅広く行われています。全てを自分で行うことは難しいですが、医局内の研究発表などを通じて様々な研究を知ることができます。楽ではありませんが、このような生活を通じて会得した知識や力と自信は必ず皆さんの役に立つと思います。

大学院体験談

宮田 崇 (大学院生)

私は医師としては8年目になり、現在は大学院3年生になります。 初期研修2年間および後期研修3年間をトヨタ記念病院で過ごし、その後、大学院1年時は社会人大学院生として西尾市民病院で勤務し、大学院2年時より名古屋大学に帰局し現在に至ります。

当教室では糖尿病・内分泌分野における様々な基礎研究や臨床研究を行っています。その中で私は家族性中枢性尿崩症のモデルマウスを用いたバソプレシンニューロンの解析という研究テーマを与えられ、有馬寛教授・森下啓明先生・萩原大輔先生(現在は留学中)の御指導のもと日々基礎研究に励んでおります。
基礎研究に関しては、最初は実験をする上で必要な実験器具の使用法や試薬の取り扱い、また実験室の使用ルール等を覚えることから始まり、同時にそれぞれの実験手技の習得を目指していきます。これまでの診療業務とは全く異なる未経験のことばかりであり、初めは戸惑うことや失敗してしまうことも多くありましたが指導医の先生方に懇切丁寧に教えていただき徐々に独り立ちできるようになりました。また、基礎研究では実験計画と同時に多くの基礎論文を読み込むことが要求されます。論文を読む力をつけることは基礎研究のみならず臨床業務においても必要不可欠なことであり、自分にとって大きなプラスになることと思っております。

その他の大学院生活についてですが、研究生活と並行して各関連病院や企業等へ週3日ほど代務にいくことで収入を得ています。
関連市中病院での外来業務に関しては、自分が勤務したことのある病院とは違ったそれぞれの病院の特徴を知ることができる上、各病院のスタッフの先生との交流を通じて多くの先生方と知り合うことができることに利点を感じています。
企業の診療所業務に関しては、一般外来診察のみならず産業医としての側面も担当することができ、そして看護師等のスタッフとの交流を通じて各企業のマインドや職業体質を知ることができるのはとても貴重な人生経験になります。

最後に、大学院生活では同世代の多くの先生方と一緒に仕事ができるというメリットがあります。とても優秀な先生方に囲まれた大学の環境において切磋琢磨していくことで、学問的な知識面のみならず社会人としての精神面においても自分の至らない点や自分に足りないものに気づかされ、自分の視野がとても広がったように感じております。
大学院生として過ごすこの4年間は、今後の人生において大きな財産になることは間違いないと確信しています。

大学院体験談

小林 朋子 (大学院生)

私は現在大学院3年生です。大学院生活についてご紹介します。

私は名古屋第二赤十字病院で初期研修2年及び後期研修3年半を過ごし、その後名古屋大学に帰局しました。帰局後、最初の半年間は大学院1年生かつ臨床医員として主に臨床業務に従事し、大学院2年生からは研究生活をしております。
当教室では糖尿病・内分泌分野における様々な基礎研究を行っていますが、ちょうど私が帰局した頃に臨床研究を行うグループも発足し、臨床研究グループ所属の大学院生第一号として研究を開始させていただきました。現在は、名大病院で免疫チェックポイント阻害薬を使用している症例における内分泌障害に関する研究や、2型糖尿病患者を対象としたIoT(Internet of Things)システムを用いた療養指導強化による糖代謝改善についての前向き研究、2型糖尿病患者を対象としたフラッシュグルコースモニタリングシステム(FGM)による糖代謝改善についての前向き研究など、糖尿病・内分泌分野におけるいくつかの臨床研究を行っております。大学病院ならではの豊富な症例や最先端医療に実際に関わらせていただけるだけでなく、それについて日々の臨床で疑問に思うことを実際に研究で解明することができる、という点が大学病院で臨床研究ができる醍醐味だと思います。
私には小学生の子どもがいるため、大学院に入学する際には育児と研究を両立できるのか不安に思うこともありました。しかし大学は市中病院と比べて医師の数が多く当番業務等は融通が利く上、臨床研究の業務は在宅でできることもたくさんあり、自分のペースで育児と研究を行うことができます。
大学には優秀で経験豊富な教官の先生方や大学院・医員の先生方がたくさんいてくださるので、臨床や研究に関する相談はもちろん育児や自身のことについての相談もでき、とてもありがたい環境です。長い医師人生の中で、大学で過ごす数年間はとても貴重な時間だと思います。入局をお考えの先生は是非(特に女医仲間大歓迎です!)大学にいらしてください。

大学の臨床医員について

女性医員

大学の臨床業務

治療方針は基本的にガイドラインに沿った標準的な治療を行いますが、個々の病態に合わせてカンファレンスや教授回診などを通じて的確なアドバイスを頂けるのでとても勉強になります。また治療方針について迷うときは教官の先生が親身に相談に乗ってくださるので一人で悩むことはありません。大学は堅苦しく、相談しにくい環境というイメージがありましたが、当教室は研究のみならず臨床も重視したサポート環境があるのでとても心強いです。また市中の病院と比較して依頼される副科の件数が多いですが、主科から求められている治療を考えながら臨機応変に対応、介入する力を養うことができます。

外勤業務

市中の病院では無かった業務の一つに外勤があります。大学病院を含め、研修病院は必要な検査や治療は院内で完結することが多いと思いますが、外勤で伺う医療機関によっては検査や治療を他院に依頼しなければならないこともあります。中核病院に紹介すべき症例を適切に判断し、連携を取りながら治療を進めるという地域の病院の大事な役割を知る貴重な機会となっています。

大学院生との接点

大学は基礎、臨床研究をしている多くの大学院生の先生方と毎日のように接する機会があります。研修病院の異なる幅広い学年の先生から様々な症例の経験を伺うことができ、自分自身の見識を深めることもできます。また留学に行かれる先生、戻られた先生との接点も多く、研究に関する様々な話題に触れることが刺激になっています。

最後に

多くの貴重な経験をさせていただくなかで、家庭のために持てる時間は十分でないため、ライフワークバランスを保っていくことは大学での勤務に限らず今後も課題です。家族の理解や協力は不可欠ですが、臨床医員は働きやすい人間関係、環境のもとで今後の糧となる経験を積み、多くの人と出会うことのできるありがたい仕事だと思います。

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