患者さんの診療から生まれる課題を、病態解明と新しい治療へ
名古屋大学皮膚科では、遺伝性皮膚疾患・角化症、膠原病、皮膚腫瘍の3チームを軸に研究しています。遺伝性皮膚疾患・角化症チームと膠原病チームは臨床研究・基礎研究を、皮膚腫瘍チームは診療に直結する臨床研究を中心に進めます。


病理画像:教室提供画像
3つの研究チーム
遺伝性皮膚疾患・角化症チーム
表皮分化疾患、自己炎症性角化症、先天性乏毛症など、遺伝性の稀少難治性皮膚疾患を対象とします。患者さんの臨床情報と遺伝学的解析を起点に、病態の理解と新規治療の開発を目指します。
研究テーマ
- 表皮分化疾患
- 自己炎症性角化症
- 先天性乏毛症
研究アプローチ
- 遺伝学的解析
- 臨床表現型とゲノム情報の統合
- 細胞・動物モデルを用いた機能解析
- 皮膚バリア機能の解析
- 新規治療法への展開
膠原病チーム
強皮症、皮膚筋炎、シェーグレン症候群などを対象に、患者血清中の自己抗体と対応抗原を分子生物学的に解析し、診断と病態理解へつなげます。
主な研究テーマ
- 抗核抗体と対応抗原の解析
- 抗DFS70抗体の臨床的意義
- 抗MDA5抗体・抗TIF1-γ抗体
- 疾患マーカー自己抗体の探索
研究アプローチ
- 高感度ELISAを用いた定量測定
- 自己抗体エピトープ解析
- 臨床症状・予後との関連解析
- 診断用測定系・検査キットの開発
皮膚腫瘍チーム
悪性黒色腫、有棘細胞癌、乳房外Paget病、血管肉腫などを対象に、外科治療から全身治療、ゲノム医療までを一貫して担い、日常診療の課題を臨床研究へ発展させます。
診療内容
- 皮膚悪性腫瘍の手術
- リンパ節生検とリンパ節郭清
- 抗癌剤、免疫チェックポイント阻害薬、分子標的薬による全身療法
- がん遺伝子パネル検査と個別化医療
臨床研究
- 新規治療の治験
- 多施設共同研究(日本臨床腫瘍グループを含む)
- 手術の低侵襲化、最適化の検討
- バイオマーカーの検討
公式プレスリリース・研究成果(22件)
名古屋大学公式サイトおよび医学系研究科の研究トピックスで、皮膚科学分野の主導・参画を確認できた研究成果を掲載しています。共同研究を含み、チーム分類は現在の研究領域に基づいて整理しています。
乳児期のアトピー早期強化治療により、3歳時点の食物アレルギーが減少
乳児期早期から皮膚炎を十分に抑える治療が、3歳時点の食物アレルギー、特に鶏卵アレルギーの減少と関連することを示しました。
プレスリリースを読む ↗遺伝性角化症を「表皮分化疾患」として再分類し、国際病名を全面改訂
病因遺伝子に基づく包括的な分類と新病名を提案し、患者さんに不快感を与えうる旧来の用語を見直しました。
プレスリリースを読む ↗毛孔性紅色粃糠疹5型のモデルマウスを作製し、発症メカニズムの一端を解明
CARD14遺伝子の変化による疾患モデルを作製し、シングルセル解析からIL-17・IL-36を中心とする炎症の仕組みに迫りました。
プレスリリースを読む ↗モザイク健常皮膚由来の培養表皮シートを用いた表皮融解性魚鱗癬治療の可能性
患者さん自身の体細胞復帰変異による健常化皮膚から培養表皮シートを作製し、治療へ応用できる可能性を示しました。
プレスリリースを読む ↗細胞共局在ネットワーク解析ツール「DeepCOLOR」を開発
一細胞・空間トランスクリプトームを統合し、ヒト扁平上皮癌を含む組織で細胞間コミュニケーションを解析する手法を開発しました。
プレスリリースを読む ↗
GPP / MEFVIMAGE: NAGOYA UNIVERSITY PRESS RELEASE汎発性膿疱性乾癬の発症にMEFV遺伝子バリアントが関与
家族性地中海熱の関連遺伝子として知られるMEFVのバリアントが、汎発性膿疱性乾癬の発症に関与することを報告しました。
プレスリリースを読む ↗皮膚血管炎におけるヤヌスキナーゼ(JAK)の活性化を発見
皮膚血管炎の病変でJAKシグナルが活性化していることを示し、新たな治療選択肢につながる可能性を報告しました。
プレスリリースを読む ↗
DUPILUMAB / IgG4IMAGE: NAGOYA UNIVERSITY PRESS RELEASEデュピルマブ長期治療でアレルゲン特異的IgG4が増加
アトピー性皮膚炎に対する長期治療が、複数のアレルゲンに対する特異的IgG4を増加させることを明らかにしました。
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JAK1 / AiKDIMAGE: NAGOYA UNIVERSITY PRESS RELEASEJAK1遺伝子の機能獲得変異による自己炎症性角化症を発見
JAK1の機能獲得変異を原因とする新たな自己炎症性角化症を報告し、JAK阻害薬による治療可能性を示しました。
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ANTI-OJ / ELISAIMAGE: NAGOYA UNIVERSITY PRESS RELEASE抗OJ抗体を安全・迅速に測定する新しいELISA法を開発
皮膚筋炎・多発性筋炎に関連する抗OJ抗体を、従来法より安全かつ迅速に測定できる検査法を開発しました。
プレスリリースを読む ↗乳房外パジェット病のリンパ節転移を予測する指標
好中球・リンパ球比(NLR)が、乳房外パジェット病におけるリンパ節転移を予測する指標となる可能性を示しました。
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LIPH遺伝子関連の先天性乏毛症・縮毛症に対する外用ミノキシジルの効果
LIPH遺伝子異常による常染色体劣性縮毛症・乏毛症の患者を対象に、外用ミノキシジルの臨床効果を報告しました。
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SDR9C7 / CERAMIDEFIGURE: OFFICIAL RESEARCH RELEASESDR9C7が皮膚バリア形成に不可欠なセラミド代謝を担うことを解明
SDR9C7がアシルセラミドの酸化と角化細胞脂質膜の形成に重要であり、皮膚バリア維持に不可欠であることを示しました。
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KDSR / CERAMIDEFIGURE: PUBLISHED STUDYKDSR遺伝子異常による角化異常症と血小板減少症の病態を解明
セラミド合成に関わるKDSRの両アレル性変異が、多様な角化異常症と血小板減少症を引き起こすことを報告しました。
プレスリリースを読む ↗新しい疾患概念「自己炎症性角化症」を提唱
自己炎症と角化異常が密接に関わる疾患群を「自己炎症性角化症」として整理し、病態理解と治療開発の新たな枠組みを提案しました。
プレスリリースを読む ↗表皮融解性母斑の生殖細胞モザイクを定量し、子への遺伝リスクを評価
父親の精液中に含まれるケラチン遺伝子変異の割合を測定し、表皮融解性魚鱗癬が子へ伝わるリスク評価につなげました。
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DITRA / IL36RNIMAGE: NAGOYA UNIVERSITY DERMATOLOGYIL36RN遺伝子異常による汎発性膿疱性乾癬の病態と治療標的を解明
IL-36受容体拮抗因子欠損症に関連する汎発性膿疱性乾癬について、炎症機序と治療開発につながる知見を示しました。
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CARD14遺伝子変異が家族性毛孔性紅色粃糠疹5型の原因であることを発見
家族性PRP5型の原因としてCARD14変異を同定し、自己炎症性皮膚疾患としての病態を明らかにしました。
プレスリリースを読む ↗
ADAR1 / RNA EDITINGIMAGE: NAGOYA UNIVERSITY DERMATOLOGYADAR1遺伝子異常による二つの疾患が連続した病態であることを解明
遺伝性対側性色素異常症とAicardi–Goutières症候群6型がADAR1変異による表現型の連続体であることを示しました。
プレスリリースを読む ↗
GJB2 / REVERSIONIMAGE: NAGOYA UNIVERSITY DERMATOLOGY復帰変異により病原性が現れる新しい遺伝性皮膚疾患の仕組みを発見
病原性GJB2変異を抑えていた第二の変異が復帰変異によって失われ、皮膚症状が現れる新たな機序を報告しました。
プレスリリースを読む ↗
GPP / IL36RNIMAGE: NAGOYA UNIVERSITY PRESS RELEASE尋常性乾癬を伴わない汎発性膿疱性乾癬の多くがIL36RN欠損で起こることを解明
IL-36受容体拮抗因子欠損が汎発性膿疱性乾癬の主要な原因となることを示し、遺伝学的診断の重要性を明らかにしました。
プレスリリースを読む ↗
RAK / ADAM10IMAGE: NAGOYA UNIVERSITY PRESS RELEASE北村型網状肢端色素沈着症の原因遺伝子ADAM10を発見
疾患報告から約70年を経て、北村型網状肢端色素沈着症の原因がADAM10遺伝子異常であることを明らかにしました。
プレスリリースを読む ↗最近の研究論文
プレスリリースに加えて、教室員が日々発表している原著論文・臨床研究・症例報告を紹介します。
PubMed収載情報を24時間ごとに自動確認します。
免疫チェックポイント阻害薬不応後のダカルバジン治療成績
Horisaki K, et al. J Dermatol. 2026
免疫チェックポイント阻害薬が効かなくなった日本人悪性黒色腫15例を対象に、ダカルバジン治療後の臨床転帰を検討しました。
高齢皮膚血管肉腫では皮下脂肪量低値が予後不良と関連
Miyazaki A, et al. Acta Derm Venereol. 2026
高齢の皮膚血管肉腫患者を後方視的に解析し、皮下脂肪量の少なさが予後不良と関連する可能性を示しました。
広範な刺青部位に生じた皮下脂肪織炎様T細胞リンパ腫
Fukuda R, et al. Acta Derm Venereol. 2026
広範な刺青部位に皮下脂肪織炎様T細胞リンパ腫が生じ、血球貪食性リンパ組織球症を合併した稀な症例を報告しました。
低温プラズマ活性化リンゲル液がメラノーマ細胞のアポトーシスを誘導
Miyazaki A, et al. J Dermatol Sci. 2026
低温プラズマ活性化リンゲル液が、熱ショックタンパク質の低下とミトコンドリア機能障害を介してメラノーマ細胞死を誘導する仕組みを解析しました。
日本人メラノーマのゲノム・トランスクリプトーム解析から免疫療法反応予測候補を探索
Kimura T, et al. Commun Med (Lond). 2026
日本人メラノーマ患者の腫瘍をゲノム・RNAレベルで解析し、免疫チェックポイント阻害薬の反応と関連する候補バイオマーカーを探索しました。
切除後爪部悪性黒色腫に対する術後抗PD-1抗体療法と経過観察の比較
Komori T, et al. J Eur Acad Dermatol Venereol. 2026
切除後の爪部悪性黒色腫に対する術後抗PD-1抗体療法と経過観察を、多施設データを用いて比較しました。