はじめに

2008年に開講100周年を迎えました.当医局では,児童・思春期から老年期までの幅広い精神障害について,生物学的側面と心理・社会的側面の双方を重視した臨床を基本として,幅の広い精神医学教育,多面的な研究を伝統的に心がけてきました.

この伝統は現在も受け継がれ,診療部門としては「精神科」と「親と子どもの心療科(児童精神科)」,研究部門としては「精神医学分野」,「精神生物学分野」,「発達老年精神医学分野」,「親と子どもの心療学分野」が精神科ユニットを構成し,多様な精神医学の臨床・教育・研究を網羅できる体制を作っています.

臨床上の特性

当医局の臨床面の特徴として,小児期から老年期までの各ライフステージの精神障害に関し,多面的診療を行っておりますが,以下のようにまとめることができます.

主な対象疾患
気分障害,不安障害,統合失調症,摂食障害,認知症,パーソナリティ障害,睡眠障害,神経発達症群(発達障害),情緒障害
診断
多面的精神症状評価と脳波・神経画像,睡眠ポリグラフ
治療薬物療法,ECTと認知行動療法,社会技能訓練(SST),患者・家族心理教育,精神力動的精神療法,認知リハビリテーション
心理士,看護師,精神保健福祉士,薬剤師,作業療法士,遺伝カウンセラーとのチーム医療
コンサルテーション・リエゾン精神医学の重視ガン緩和領域(小児ガンを含む),肝臓・腎臓移植領域,周産期領域(妊産婦と児),口腔外科領域,児童虐待,心循環系領域に関する他の診療科とのチーム医療

研修・教育システム

当医局は,児童・思春期から老年期までの患者に対して,多様なアプローチを実践している,多彩な精神科専門医・認定医,精神医学研究者が在籍し,その点を活かした精神科専門研修システムを持っています.

また,全国で卒後研修必須化が始まる前,すでに40年以上にわたり,精神科専門研修前にローテート研修を行うことを一般化し,精神科臨床に止まらない幅広い臨床技能の修得を研修の基本理念にして来ました.また,医療現場における公認心理師の研修の伝統も数十年に及びます.

入局後の方向性

現在,精神科医・児童精神科医に対する社会的ニーズは高く,国公立精神科病院・私立精神科病院,総合病院精神科,精神科クリニック,保健所や児童相談所,発育相談,障害児療育施設,教育現場相談業務,企業内メンタルヘルス相談業務など,広範な臨床,相談業務場面で求められています.

実際,当医局には愛知県を中心に多数の関連病院,施設があり,勤務先も豊富です.また,大学等の教育施設や内外の研究施設から研究者や教育者に関する依頼も数多く寄せられており,研究・教育者の途に進むものも多数います.

医局の構成(現時点での在籍者の構成)

内訳は下記のとおりです.

総数 79名
教授:1名
特任教授:2名
准教授:3名、特任准教授:3名
講師:3名、病院講師:1名、特任講師:2名
助教:2名、病院助教:3名、特任助教:2名
専攻医:30名
レジデント心理士:4名
研究員:1名
大学院生(社会人含む):15名
技術員・補佐員:2名
事務員・補佐員:5名