今後の展望

近年,卒前・卒後医学教育において精神医学の重要性が強調されています.その背景には,「精神障害の発症頻度は高いが,適切な医療的対応を受けていない患者も多く,大きな社会的損失がもたらされている」という事実に対する認識の高まりが挙げられます.名古屋大学精神科医局としても「患者の生物・心理・社会的側面に配慮し,実証的データと患者・家族のニーズに基づく精神医療を実践すること」を念頭に置き,さらに,日々の臨床が「新たな実証的データを作成するための研究」に繋げるよう努力しています.

その上で,1)現行の診断・治療法の範囲内で最も妥当なものは何かを検証する研究と,2)「現在の診断法・治療法では解決困難な症例」に対応すべく病態生理を解明し,病態生理に即した治療・予防法の開発を見いだす研究,を目指しています.

精神医学の臨床・教育・研究という多分野における需要に応えるには,何よりも人材が重要です.そのために必要な精神科医,児童精神科医は不足しており,積極的な若手医師の入局を強く望んでおります.