名古屋大学大学院医学系研究科 予防医学
菱田朝陽の研究テーマ
准教授 菱田朝陽

  • 大規模ゲノムコホートを用いた、慢性腎臓病(CKD)発症リスクに関する研究
    日本多施設共同コーホート研究(J-MICC Study)のゲノムワイド関連解析研究(GWAS)のデータを中心に、日本人の循環器系疾患による死亡の原因の一つとして近年注目を集めている、慢性腎臓病(CKD)の発症リスクに関する遺伝子多型の研究を行っている。同研究については、欧米をはじめとする海外の国際ゲノムコホートコンソーシアムとの連携も精力的に進めている。
  • SNP-set解析を用いた、ピロリ菌関連萎縮性胃炎発症リスクに関する研究
    ピロリ菌は、日本人における胃がんの原因の9割以上を占め、その除菌は胃がん予防のための有効な手段であることが分かっているが、遺伝的要因の関与については、未知の部分が多く残されている。東アジア人に特徴的にみられるピロリ菌関連胃がんの前がん病変である、萎縮性胃炎に焦点を当て、パスウェイや遺伝子単位での遺伝子多型の複合的効果をみる手法であるSKAT(Wu MC, Am J Hum Genet 2009)を用い、遺伝情報に基づくピロリ菌関連萎縮性胃炎のオーダーメイド予防法の確立を目指し、研究を行っている。
  • 伊賀市住民を対象とした生活習慣病に関するゲノムコホート研究(伊賀市コホート研究)
    2013年3月から2014年7月まで、三重県伊賀市でコホート参加者の募集を行い、約1,500名の伊賀市民の方々にご協力を頂いた。その生活習慣・遺伝子解析データをもとに、伊賀市民および日本国民全体の病気の予防に有用な知見の発信に努めている。
  • メンデルランダム化(MR)を用いた、ヒトの慢性疾患発症リスク要因に関する研究
    近年の遺伝疫学のトレンドである、生活習慣の代替指標(proxy)としての遺伝子多型とヒトの慢性疾患発症リスクの関連解析を進めることにより、従来の手法とは少し違う角度から、有効な疾患予防の方策を探る。
  • 大規模ゲノムコホートを用いた、ヒトの慢性疾患発症リスクにおける遺伝子-環境交互作用(Gene-environment interaction: GxE)に関する研究
    J-MICC Studyを主とした大規模ゲノムコホートデータを用いて、循環器・代謝疾患を中心とする主要な慢性疾患をアウトカムとした遺伝子-環境交互作用の解析を網羅的に行い、日本人における同疾患をはじめとする慢性疾患の遺伝情報に基づくオーダーメイド予防法の可能性を追求するとともに、国際共同研究の準備を進める。
  • 臨床データ解析
    その他、研究者自身の8年間の内科臨床医としての経験を活かし、学内外の臨床研究室からの臨床データに関する相談・解析依頼に随時対応している。