目標

  1. 入院患者の主治医の一員となることで,責任を持った医療を体験する.患者との面接やその他の交流を通し,患者の心理面に十分配慮した精神医学的な接し方や面接技術を習得する.
  2. 病棟の諸行事に参加し,コメディカルスタッフとの協調性を養い,精神保健福祉法のもとで運用されている精神科病棟の在り方を体験する.
  3. 当科外来初診に訪れた患者から予診を取る(医療面接)中で,患者や家族が医療に求めるもの(ニーズ)を知ることと,診断に必要な情報を得て診療の方針を立てること,ニーズと診療の方針をすり合わせることを学ぶ.
  4. 文献を読み,その内容をまとめて発表する.
  5. 精神医学に関する研究を体験する.
  6. 学外の精神科病院においても実習し,より広い視野で精神科医療の経験を得る.

概要

大学病院での実習期間と学外の精神科病院での実習期間を作り,それぞれの期間に,指導医の指導を受けつつ,入院患者さんの主治医に加わり,診察を行って,その内容について討議すると共に,病棟行事への参加を通して入院治療の実際に触れる.また,児童外来の初診患者さんの予診聴取,診察見学,ならびに再来患者さんの診察見学を行い,討議することにより,外来診療の実際を知る.さらに当科と他科間の院内リエゾン活動や、他院(精神科専門病院)の活動を知るとともに,文献で知見を深めることを実際に体験して精神医学領域の文献に対するリテラシーを高める.

実際

  1. 精神科臨床実習IIでは,学生各々に指導医を割り当てるので、初日のオリエンテーション時に確認すること.
  2. 当科の入院患者 2名を指導医とともに担当する.指導医の指導の下に,面接をして,病歴,家族歴,生活歴などを聞いて,治療についても考える.週2回の定期的面接と毎日の病棟回診を行う.週に 2回は指導医と相談して指導を受ける時間を設定する.指導医にはその時間以外にも適宜こまめに相談し,指導を受ける.指導医以外の教員にも積極的に指導を受ける.
  3. 病棟の行事に参加し,担当以外の患者や,看護師,臨床心理士、作業療法士、精神保健福祉士、遺伝カウンセラーとも交流する.
  4. 児童外来初診患者(新患)の予診・診察見学,討議をする.また,再来患者の診察見学,討議をする.
  5. 当科・他科間で行っているいくつかの院内リエゾン活動について、カンファレンスに陪席し具体的な進め方を知る.
  6. 各人の問題意識や関心領域に則した英文総説を読み,その内容をまとめてPower Pointによりスライドを作成し,プレゼンテーションを行う.
  7. 精神科医局の症例検討会や研究会(学外で行われる場合もあり,その都度知らせる)その他に参加する.なお,実習期間中に研究の実際に触れたい場合は,池田まで連絡する.
  8. 学外の基幹的な精神科病院(愛知県精神医療センター)で実習を行う(3日間程度).患者の主治医に加えてもらい,学外病院の指導医の指導の下で面接と毎日の回診をする.病棟行事その他にも参加する.
  9. 以上の経験について報告書を作成し,指導医に報告し,それについて討議する.

主な担当者

大学

池田匡志,木村宏之,稲田俊也,高橋長秀,岩本邦弘,藤城弘樹, 徳倉達也,鳥居洋太, 山本真江里, 小笠原一能, 久島周, 木村大樹, 立花昌子, 加藤秀一, 名和佳弘, 岩田邦幸

愛知県精神医療センター

高木宏, 羽渕知可子, 平澤克己

大学病院での実習の実際

  1. 学外に行かない週は大学病院精神科で実習する.
  2. 第 1週の第 1日目 (月曜日) は医系研究棟 1号館10階の当科医局の入り口近くの机に集合(集合時刻については事前に医局秘書に確認のこと).オリエンテーションをして,指導医に紹介する.
  3. 指導医は正と副の 2名とする.正の指導医が主に指導をし,副の指導医は不足分を補う.担当する入院患者 2名は,正・副の指導医が担当する患者さんの中から選ぶ.患者さんを担当したら,週2回の面接と毎日の回診を行う.また,週 2回,指導医と相談する時間を設定する.患者さんへの対応については指導医の指示に従うこと.
  4. 当科 (2E) 病棟の諸行事に参加する.主な行事は下記のものがある.
    1. 回診と新入院・退院患者の症例検討会:月曜午後 2~5時(前半が回診,後半が症例検討会となる.これには必ず参加すること。ただし回診への参加は臨床実習Ⅰと重ならない週のみとし、重なる週は症例検討会から参加する)月曜午後2時前に 2E 病棟詰所に集合.
    2. 病棟委員会:金曜午後 3時15分から(病棟医長,副医長,医師数名,看護者数名で病棟運営について検討をする会議)2E 病棟詰所で.
    3. SST:木曜午後 1 ~2時 (患者による社会技能訓練)
    4. 摂食障害患者の親の会:(適宜行われるので確認すること)
  5. 外来での予診聴取は,下記のように行う.
    1. 臨床実習Ⅰがない週:月 ~金曜の午前 9時に外来へ集合.原則として医学生 2名一組で新患の予診聴取をする.予診は 1時間程度で終わること.木曜の午前の児童外来新患の予診も聴取する.
    2. 臨床実習Ⅰがある週:月 ~金曜の午前11時までに外来へ集合.(12時半までは外来で待機する).
  6. 院内リエゾン活動について、指定の曜日・時間にカンファレンス実施場所へ出向いて陪席・見学し、現場のやり取りから具体的な進め方を知る。
  7. 夜には医局の研究会や各研究班の研究会があるので,できるだけ積極的に参加する.時間は夜 7 ~9時頃.
    • 月:教員文献紹介 (症例検討会に引き続いて実施)
    • 火:大学院生勉強会
    • 水:精神療法グループ、遺伝カンファランス
    • 木:児童精神医学グループ
    • 金:精神病理グループ
    • *日程や内容は精神療法グループ(木村宏之)、児童精神医学グループ(高橋)、精神病理グループ(小笠原)に確認のこと.
  8. 紹介する文献は,池田と相談して決める.その内容をまとめ、Power Pointでスライドを作成してプレゼンテーションする.これに関しては文献担当教員の指導を受ける.

学外の精神科病院での実習の実際

  1. 3日間程度は学外の精神科病院で実習する.第 2・3週で各班をほぼ半分に分け、県立の愛知県精神医療センターに1週間ずつ行っていただく.
  2. 第 1日目には,午前 9時(愛知県精神医療センターの医局)までに行く.時間を特に厳守すること
  3. 医学生 1名に指導医 1名がつく.指導医の指示に従って実習をする.
  4. 入院患者を担当させてもらったり,病棟行事などに参加する.

報告書の作成

  1. 第4週に実習報告書を作成する.以下のような各報告書を作成し,これを指導医と討議する(原則として実習終了日).
    入院症例報告書 (2例)  精神科病院実習報告書
    児童外来新患症例報告書(2例)  リエゾン活動実習報告書
  2. 入院症例報告書は,2E 病棟で担当した患者 2名についてのものとする.1症例あたり 4000 字程度でまとめる.精神医学用語を正しく用いて,診断,病歴,家族歴,生活歴,治療経過などを記述する.治療経過には,自分の印象や感想も加える.考察は学習した知識のみでなく,自分の考えも述べること.
  3. 精神科病院での実習報告書は,形式は自由とする.4000 字程度でまとめる.自分がどのような経験をして,そのように感じ,考えたか,を中心に述べればよい.児童外来新患症例報告書・リエゾン活動実習報告書も形式自由で各2000字程度でまとめる.
  4. いずれもワープロを用いること.
  5. 上記計4本の報告書は実習指導教員に提出して討議を行い,指導教員からの承認を得て,実習を終了する.

その他の留意事項

  1. 指導医と会えないような場合には,医局秘書に探してもらうように依頼する.
  2. 医局のスペースは,これを自由に用いてもよい.
  3. 色々なことに積極的に参加してほしい.疑問があれば指導医やその他の教員,医員に質問してほしい.
愛知県精神医療センター
地下鉄名城線〔自由ヶ丘〕下車
千種区徳川山町 4- 1- 7,TEL: 763−1511
集合場所は管理棟 4階の医局

(スケジュール・内容には変更がありうる)