腫瘍

卵巣がん

東海卵巣研究会を組織し、全国有数の症例数を持つ。悪性卵巣腫瘍では、日本国内で最初に研究会を組織して、1979年より関連病院とともに多数の症例を集積し、治療成績改善に向けて手術療法や化学療法を研究しております。年間100例以上の登録があり国内では最大規模であります。これらの研究成果は国内だけでなく国際雑誌にも多数掲載され、治療法の改善を通じて患者様の予後向上に貢献しています。
治療法は手術療法を基本とし、その後病気の進行状況に応じて抗癌剤による化学療法を実施しています。また、再発症例に対しても積極的に手術や化学療法を施行して、根治に向けて努力しております。
一方悪性卵巣腫瘍であっても、若い患者様で初期の症例では妊孕性温存手術を実施しており、治療後に妊娠・分娩された患者様も多く経験しています。2010年7月から臨床試験として卵巣明細胞腺癌に対するHLA-A24および-A2結合性Glypican-3(GPC3)由来ペプチドワクチン療法の臨床第U相試験を行っています。卵巣明細胞腺癌は抗癌剤が効きにくく、再発進行癌では治療に苦慮します。我々はそのような患者さんに対して新しい治療を提供できると考えています。

子宮頚がん

当院では年間100症例以上の子宮頚癌に対して世界標準治療による治療実績に加え、患者様のQOLとさらなる治療成績の向上を目指して新たな治療法の開発に努めています。

1)進行子宮頚癌に対する術前化学放射線療法

進行子宮頚癌や初期であってもサイズの大きな癌では手術によって病巣を完全に切除できない場合もあり、また、手術時の出血や術後の合併症が問題になります。当院ではこのような患者様に対して、まず化学放射線療法を行い、腫瘍の縮小、進展の抑制を行った後で広汎性子宮全摘出術を行い完全なる病巣の摘出を目指しています。2000年1月から現在までに100例をこえる症例にこの治療を行い、非常に良好な治療成績をあげています。特に子宮頚癌の中でも予後不良とされる頸部腺癌においても2期以上の症例における5年生存率は約80%と良好な成績を得ている。今後も治療成績の向上に加え、より副作用の少ない治療法の開発を目指しています。

2)子宮頚癌に対する低侵襲手術

子宮頸癌の手術療法として広汎性子宮全摘出術が標準手術として行われます。しかし膀胱の神経が子宮の近傍を走行しており、手術に際して神経が損傷を受けるため多くの患者様が排尿障害(尿意がなくなる、いきまないと尿が出ない)に悩まされます。当院では根治性を保ちながら可能な限り神経を温存する手術を行い、術後の排尿障害に対しても良好な結果を得ています。

3)子宮頚癌に対する妊孕能を温存手術―広汎子宮頚部切除術

最近は妊娠前の若い女性に子宮頚部浸潤癌が増えています。そこで我々は根治性と妊孕性をを兼備えた機能温存手術としての広汎性子宮頚部摘出術を行っています。臨床進行期Ta2(〜Tb1)期の子宮頚部浸潤癌(扁平上皮癌)で、骨盤リンパ節転移を有せず、癌の根治性と妊孕性温存の両立を強く望む症例に対して、十分なインフォームドコンセントが得られた症例に限り、腹式広汎性子宮頚部摘出術を行います。当教室での具体的な適応基準は、1)腫瘍径2cm以下の進行期1aから1b1、2)扁平上皮癌、3)画像上子宮頚部以外に病変がないこと、4)妊娠を強く望まれていることなどです。

子宮体がん

最近、顕著な増加傾向が見られ当院では年間70症例以上の子宮体癌の治療を行っています。子宮体癌は初期より不正性器出血がみられることが多く、このような症状が認められた場合は婦人科の診察を受けることが早期発見のために重要です。治療は手術が主体になります。手術は単純子宮全摘術・両側卵巣、卵管切除術・骨盤〜傍大動脈リンパ節廓清術を標準としていますが、初期の症例ではより低侵襲の手術もおこなっています。術後の追加治療の必要な症例では最近になり子宮体癌にも使用が認められた抗がん剤(パクリタキセル)を併用した化学療法を行い治療成績の改善に努めています。化学療法は患者様の希望を確認し、なるべく外来で行うようにしています。また、若年の患者さんでは病気の種類や進行期に応じて、ホルモン療法による子宮温存治療も行なっています。進行期Ta期で高分化類内膜癌や子宮内膜異型増殖症の方で、将来強く妊娠・分娩を希望される場合は子宮内膜前面掻爬を行った後に黄体ホルモン(MPA)を用いた治療を原則6カ月間行います。この場合厳重な経過観察が必要で治療しても癌細胞が消えない場合標準的な治療に切り替えます。

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 絨毛性疾患とは妊娠時の胎盤をつくる細胞から発生する病気の総称で、大きく分けると異常妊娠の1つである胞状奇胎と胞状奇胎後に発生する腫瘍である侵入胞状奇胎(侵入奇胎)および絨毛癌の3つが含まれます。
当院では1962年に全国に先駆けて絨毛性疾患専門の登録管理センターを設置し、愛知県内の全ての病院・診療所における胞状奇胎の登録をおこない、各医療施設と連携しながら胞状奇胎後の患者様のフォローアップや胞状奇胎後に発症する侵入奇胎・絨毛癌の早期発見と治療成績の向上に努めてきました。また絨毛性疾患の全国登録の事務局として全国データの解析もおこなっています。したがって過去40年以上に渡り国内でも最大規模の絨毛性疾患症例の治療を経験してきており、経験豊富な専門医により絨毛性疾患の最先端治療をおこない、国内トップレベルの治療成績を築いてきました。県内各医療施設からの紹介患者様の治療のみでなく、私どもの治療実績を基に全国の病院から寄せられる患者様の紹介やセカンドオピニオンの依頼を広く受け入れています。
絨毛性疾患の詳しい説明、当院における治療内容・治療成績については次の項をお読みください。

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