「細胞再生プログラム」の研究技術

ヒトの身体には、数十兆もの細胞が存在しています。
皮膚、筋肉、骨、脳、血管――
それぞれの組織の細胞が、それぞれの役割を果たしながら、
“わたし”という身体をつくっています。
美容も健康も、“わたし”をつくる細胞の機能とその状態が影響します。
細胞を再生し、機能を高め、良い状態を維持することで、
本来の美しさとすこやかさが高まっていきます。
しかし、細胞の状態は目に見えません。
さらに、年齢、生活習慣、ストレス、睡眠、栄養など、様々な要因が複雑に影響し合うため、
自分の細胞の状態に合ったケアや成分を取り入れることは、簡単ではありません。
そこで、私たちが培ってきた、
皮膚や身体の状態を分析する技術、細胞から生体組織を再生する技術、有効成分の探索結果、
そして、近年急速に進歩しているAI技術を組み合わせ、
今の自分に必要なケアや成分を知ることができる「細胞再生プログラム」を開発しました。
自分の状態を
知る技術の開発
皮膚や身体の状態の測定、遺伝子の解析、心理や脳機能測定など、一人ひとりの状態を知るための研究を進めています。
皮膚の幹細胞を解析し、皮膚の再生メカニズムを解明
皮膚は、日々、幹細胞から新しい細胞が生み出されることによって良好な状態を保っています。しかし、皮膚の幹細胞の性質やその再生メカニズムについては不明な点が多くあります。
そこで、一人ひとりの肌状態を細胞レベルで紐解く基盤として、皮膚幹細胞の解析を進めてきました。2023年には解析人数が1000人に到達し、幹細胞を起源とした皮膚の再生メカニズムの全体像を明らかにしました。現在も解析数を増やし、さらなるデータの蓄積と詳細な解析を継続しています。

生まれ持った皮膚の性質や身体の特徴を知る、遺伝子解析
顔の形や体型、皮膚の性質、髪・瞳の色など、個人個人で異なる特徴は、遺伝子の違いによって決まります。私たちは、個々の遺伝情報を解析する独自の技術を開発しました。
その技術によって、シワ、シミ、タルミ、ターンオーバーの速度など、皮膚の性質に関わる遺伝子タイプ(SNP)を発見しました。皮膚だけにとどまらず、ストレスの感じやすさや薄毛に関する遺伝子タイプなど、一人ひとりが生まれ持った個性を総合的に知るための研究を進めています。
皮膚や身体の状態を左右する、心理・脳機能の測定
これまでの研究成果(代表例)
- ネイルカラーには、気持ちをポジティブにしたり、PC作業による倦怠感やストレスを軽減する効果がある。
- 高級感のある香りは、時間の感覚に関わる脳活動を抑え、時間の流れを早く感じさせる。
- フェイシャルエステは、脳の特定領域を活性化し、心地よさやストレス軽減をもたらす。

細胞レベルから生体を
再生する技術の開発
幹細胞をはじめとする様々な細胞の研究や遺伝子研究を通じて、細胞から生体組織を再生する技術の開発を進めています。
本人の「幹細胞」から本人の「顔」を再現した、
人工全顔皮膚モデルを作製
幹細胞はすべての細胞のもととなる細胞です。幹細胞から新しい皮膚の細胞が生み出されることで、皮膚が再生されます。この再生能力を活かし、個人の“幹細胞”からその人の“顔”を再現した、「人工全顔皮膚モデル」を開発しました。
この皮膚モデルを用いて、顔のどの部分が紫外線ダメージを受けやすいのかを可視化することに成功しました。さらに、複数の人の顔を再現したモデルで評価したところ、同じ紫外線の強度や角度であっても、顔の形状(骨格や凹凸)によってダメージの受け方が異なることを明らかにしました。
皮膚の性質や顔の形状によって、効果的な成分やダメージの受けやすさは異なります。このモデルを活用することで、一人ひとりの肌に合わせた有効成分の評価や、高精度な老化予測などが可能になります。

全自動でまばたきする、人工皮膚モデルを開発
顔の皮膚は表情の変化などによって伸縮を繰り返しています。中でも目元は、1日に約2万回ともいわれる“まばたき”による動的負荷が多い部位です。
そこで、目元の形状を再現した人工皮膚モデルを作製し、自動的に動かす電動機構を組み合わせて、全自動でまばたきを繰り返す人工皮膚モデルを開発しました。これにより、皮膚の伸縮などの動的負荷の大きさに応じた、細胞ダメージを評価することが可能になりました。
細胞の機能を高める
有効成分の探索
美しくすこやかな肌や身体に導く、様々な成分を探索しています。
自分の状態を知り、
再生へ導くAI技術の開発
画像から皮膚内部の状態を判定する技術、個々の状態に合わせて必要なケアを導き出すシステムなど、研究や美容・健康アドバイスに活用するために、独自のAI技術を開発しています。
皮膚内部の幹細胞の数や場所を予測し、
可視化するAIシステムを開発
皮膚内部の幹細胞状態を知るためには、従来、皮膚の一部を切り取り、染色して顕微鏡で調べる必要があるため、幅広く研究を行うハードルとなっていました。
そこで私たちは、膨大な解析データから見出した「幹細胞特有の形状」を学習させた、独自のAI技術を開発。特殊な顕微鏡で撮影した皮膚内部の立体映像をこのAIが分析することで、皮膚を傷つけることなく表皮幹細胞の数や分布を捉えることが可能になりました。


皮膚や身体の状態を測定し、
必要なケアを導き出すAIシステムを開発
これまでの研究を通じて、私たちは様々な手法を用いて皮膚や身体を測定し、多種多様なデータを蓄積してきました。これらのデータをAIに学習させることで、画像やアンケートの回答などから皮膚や身体の状態を判定し、必要なケアや成分を導き出すシステムを開発しました。
その1つとして、肌画像から、水分量・シミ・毛穴・シワの状態を判定し、必要なケアや成分を導き出す肌測定コンテンツや、脳の調子をスコア化するゲームを、わたし研究室で公開しています。


