分子細胞学
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- 分子
- ミクログリア
- イメージング
- 脳
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RESEARCH PROJECTS
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1. グリア細胞の生理機能解明
a. ミクログリアの新規生理機能の解明
ミクログリアは、中枢神経系唯一の免疫細胞です。これまで精神・神経疾患において活性化することから、これらの病態における役割を明らかにする重要な研究が行われてきました。しかしながら、その生理的な機能はあまり知られていませんでした。
私たちはこれまで、2光子顕微鏡を用いた生体イメージングによって、生理的ミクログリアがシナプス(神経細胞のつなぎ目)に定期的に接触すること、接触には活動依存性があること、また一度シナプスが異常をきたすとミクログリアの接触時間が延長し、シナプスが消失することに関わることを明らかにしました (Wake et al., 2009)。
さらにシナプスに接触することでシナプス活動を修飾し、神経細胞活動の同期性を促進することで、学習などの高次脳機能を修飾することも明らかにしました (Akiyoshi et al., 2018)。発達期においては、神経細胞の樹状突起に接触することで未熟なシナプス形成を促進し、特異的な神経回路結合を担うことも見出しました (Miyamoto et al., 2016)。更に先天性の視覚喪失においては残存感覚に機能向上に寄与していることを明らかにしました(Hashimoto et al., 2023)。
これらのことから、ミクログリアは精神疾患の形成に強く寄与すると考えられ、その可能性を示唆してきました (Wake et al., 2013, Miyamoto et al., 2015)。
現在はミクログリアの血管に対する作用や統合失調症などの精神疾患における異常やアルツハイマー病における役割を解き明かすべく研究に取り組んでおります。
b. 神経活動依存性髄鞘化
オリゴデンドロサイトは軸索周囲を髄鞘化することで、活動電位の伝播速度を約50倍程度まで速めることができます。
これまで、私たちは神経活動依存性を担うオリゴデンドロサイト内の分子基盤を明らかにし (Wake et al., 2011)、その分子基盤を担う形態的特徴を抽出してきました (Wake et al., 2015)。さらに運動学習に伴った神経回路の変容と共に変化する分子・脂質群を2光子顕微鏡と質量分析顕微鏡を組み合わせることで明らかにしています(Kato et al., 2023)。また活動依存的な髄鞘化が神経細胞活動の同期性に寄与し、運動学習に関わることを2光子顕微鏡と電気生理学的手法を用いて検討しています。
2. ホログラフィー顕微鏡の開発
私たちの研究室では2光子顕微鏡を用いて、生体イメージングを行うことに取り組んできました。この技術を用いることで生きたマウスの脳構造・機能を可視化することができます。
さらに運動学習・感覚学習中のマウス神経細胞集団の活動を可視化し、数理学的に解析し、病態における異常を抽出してきました。
近年、このような神経細胞活動を操作するために、光遺伝学的手法を用いた細胞活動操作法(オプトジェネティックス)が発達してきました。上記で得られた異常な神経細胞集団の活動情報を基にオプトジェネティックをもちいて補正する試みを行う中で、より高精度に時空間的分解能を持つ光操作法の必要性に迫られ、当学システム情報学研究科・理学研究科・工学研究科や生理学研究所・理化学研究所、ニコン・サンテック社などと共同で顕微鏡の開発を行っております (Quan et al., 2018)。
ホログラフィー投影技術を用いて、これを顕微鏡に導入することでレーザーの形を加工し、様々なパターンの光投影を可能にし、これにより特定の神経細胞の活動を誘導し(Okada et al., 2021)、標識を行うこともできるようになりました(Tusji et al 2025)。
3. 脳内微小環境と癌細胞の相互作用を解明する異分野融合的解析法
私たちは、転移性脳腫瘍の発生、すなわち他の臓器で発生した癌が、脳に至り生着する過程と免疫反応の解明を課題としています。
脳実質はミクログリアが免疫細胞として唯一存在し、初動免疫を担当します。私たちはこれまで、動物モデルへの2光子顕微鏡を用いた生体イメージングによって、癌細胞とミクログリアを生体の脳内で長期観察する技術を確立しました。侵入を試みた癌が脳実質に生着する過程や、ミクログリアの介在により排除される瞬間をとらえ、癌が脳内で実に多様な運命を辿ることをあきらかにしました。
またミクログリアをはじめとした免疫系のパトロールから逃れる仕組みを解明し、脳転移規定因子や治療標的因子を抽出しました(Tsuji, et al., 2025)。
BIBLIOGRAPHY
2025
- Takahiro Tsuji, Haruka Hirose, Daisuke Sugiyama, Mariko Shindo, Rahadian Yudo Hartantyo, Yutaro Saito, Tsuyako Tatematsu, Shouta Sugio, Makoto Sanbo, Masumi Hirabayashi ,Yasuhiro Kojima Jun Koseki Kazutaka Hosoya Hiroshi Yoshida Tatsuya Ogimoto Yuto Yasuda Kentaro Hashimoto Hitomi Ajimizu Yuichi Sakamori Hironori Yoshida Noritaka Sano Masahiro Tanji Hiroaki Ito Kazuhiro Terada Masatsugu Hamaji Toshi Menju Hiroyuki Konishi Shogo Kumagai Cyrus M Ghajar Daisuke Kato Hiroshi Date Akihiko Yoshizawa Yoshiki Arakawa Hiroaki Ozasa Andrew J Moorhouse Teppei Shimamura Hiroyoshi Nishikawa Toyohiro Hirai Hiroaki Wake. Microglia Display Heterogeneous Initial Responses to Disseminated Tumor Cells. Cancer research Cancer Res. 2025 Dec 10. 査読有り筆頭著者
- Sarasa Yano, Natsu Asami, Yusuke Kishi, Ikuko Takeda, Hikari Kubotani, Yuki Hattori, Ayako Kitazawa, Kanehiro Hayashi, Ken-ichiro Kubo, Mai Saeki, Chihiro Maeda, Chihiro Hiraki, Rin-ichiro Teruya, Takumi Taketomi, Kaito Akiyama, Tomomi Okajima-Takahashi, Ban Sato, Hiroaki Wake, Yukiko Gotoh, Kazunori Nakajima, Takeshi Ichinohe, Takeshi Nagata, Tomoki Chiba & Fuminori Tsuruta. Propagation of neuronal micronuclei regulates microglial characteristics. Nature Neuroscience 28, pages487–498 (2025). 査読有り
2024
- Neuromodulation with transcranial direct current stimulation contributes to motor function recovery via microglia in spinal cord injury. Ryotaro Oishi, Ikuko Takeda, Yukihito Ode, Yuya Okada, Daisuke Kato, Hiroaki Nakashima, Shiro Imagama, Hiroaki Wake Scientific reports 14(1) 18031-18031 査読有り
2023
- Kato D, Aoyama Y, Nishida K, Takahashi Y, Sakamoto T, Takeda I, Tatematsu T, Go S, Saito Y, Kunishima S, Cheng J, Hou L, Tachibana Y, Sugio S, Kondo R, Eto F, Sato S, Moorhouse AJ, Yao I, Kadomatsu K, Setou M and Wake H. Regulation of lipid synthesis in myelin modulates neural activity and is required for motor learning. Glia 2023 July 3 doi: 10.1002/glia.24441
- Hashimoto A, Kawamura N, Tarusawa E , Takeda I , Aoyama Y, Ohno N, Inoue M, Kagamiuchi M, Kato D, Matsumoto M, Hasegawa Y, Nabekura J, Schaefer A, Moorhouse AJ, Yagi T, and Wake H Microglia Enable Cross-Modal Plasticity by Removing Inhibitory Synapses Cell Rep. 2023 Apr 21; doi: 10.1016/j.celrep.2023.112383.

