移植費用について


肝移植の健康保険適応疾患
生体肝移植については、2004年1月1日より健康保険の対象となる疾患が大幅に拡大されました。
現在の保険適用の疾患は、
  • 先天性胆道閉鎖症
  • 進行性肝内胆汁うっ滞症(原発性胆汁性肝硬変と原発性硬化性胆管炎を含む)
  • アラジール症候群
  • バッドキアリー症候群
  • 先天性代謝性疾患(家族性アミロイドポリニューロパチーを含む)
  • 多発嚢胞肝
  • カロリ病
  • 肝硬変(非代償期)
  • 劇症肝炎(ウイルス性、自己免疫性、薬剤性、成因不明を含む)
  • 肝細胞癌(肝硬変に合併し、遠隔転移と血管侵襲を認めない。肝内に径5cm以下1個、又は3cm以下3個以内が存在する場合)
(注)肝細胞癌の評価については、移植実施日から1月以内の術前画像を基に判定します。移植前に肝癌に対する治療を行った症例に関しては、当該治療を終了した日から3月以上経過後の移植前1月以内の術前画像を基に判定するものと決められています。なお、完全壊死に陥っている結節は、肝癌の個数には含めませんし、移植手術時の摘出肝の病理診断で判断することもありません。


(注)2019年8月1日より肝細胞癌に対する脳死肝移植の保険適応基準が拡大されました。
<肝細胞癌の脳死肝移植の新基準>
肝硬変に合併し、遠隔転移と血管侵襲を認めない、ミラノ基準内あるいはミラノ基準外でも5-5-500基準内であること。

生体肝移植では条件がよければ、適応基準を超えた肝細胞癌でも移植適応となることがありますが、脳死肝移植では基準内であることが必要条件となります。また、待機期間中に基準を逸脱した場合には、脳死肝移植待機の継続ができなくなります。




肝移植の健康保険適応外疾患
上記保険適用の疾患以外でも、肝移植で元気になることが期待できる場合があります。
一部の進行肝細胞癌や極めてまれな肝疾患など医学的に移植適応がありと判断される場合は、自費診療で移植可能な場合があります。自費診療費用としては、600~2,000万円程度となります。名古屋大学病院では自費診療による肝移植治療の場合は、移植手術前に定められた預り金を納めて頂くシステムとなっております。




生体肝移植ドナーの費用について
  1. 最終的に生体肝移植ドナーの検査・入院・手術費用はレシピエントの医療費に合算され、レシピエントへの請求となります。
  2. ドナー検査を行っても何らかの理由でドナーにならなかった場合には、全て自費となります(移植を行って初めてドナーとなります)。また、移植前の検査費用などはいったん自費扱いでお支払い頂きますが、移植実施後に全額返金され、あらためてレシピエントに請求されます。
  3. 退院した後の外来検査費用などは、ドナー本人の健康保険を使用することになります。




医療費助成などについて


小児慢性特定疾患、特定疾患
胆道閉鎖症などで、公費負担されます。
高額療養費制度
加入している保険窓口で「限度額適用認定証」の交付を受け、自己負担限度額のみの支払いで済みます。
身体障害者手帳、自立支援医療(更生医療)
平成22年4月から、肝臓移植後の免疫抑制治療中の患者は、身体障害者手帳1級が取得可能になりました。また、身体障害手帳を取得された方を対象に自立支援医療(更生医療)制度があります。