名古屋大学医学部史料館の前身は医学部資料室であり、名古屋大学医学部の歴史を世界の中に位置づけ、 将来を展望する場を企図して、1971年に現医学部図書館(名古屋大学附属図書館医学部分館)の4階に設置されたものです。 そこでは、医学部や医学史・医療史に関連する古医書、歴史的な医療器具、写真等が収集・保存・展示されていました。
1983年末になり、当時の医学部図書館長が、医学部資料室が倉庫同様の散々な状態であるのを危惧して、 同窓会(1954年卒業・旧終会)でその改善の提案を行い、卒業30周年の記念事業として整備することが決定されました。 そして、同窓生の寄付金を元に、1986年・1991年・1998年と3度にもわたる資料室の整備改修が実施され、 名称も「医学部史料室」と改められました。
そして、2021年に医学部創基150周年基盤整備支援事業の一環として、この医学部史料室は医学部図書館の4階から2階に医学部史料館として移設され、 生まれ変わることになりました。新たに開かれた史料館として、名古屋大学医学部の歴史を周知し、語り継いで頂くことがその目的になります。 VR(virtual reality)などの新たな展示手法を取り入れ、全面的な改装が行われました。 本史料館の所蔵品は、史料の形態から見て、大きく次の3つの観点に分類することができます。
名古屋大学医学部の創基から現代に至るまでの医学史に輝く先駆者たちの歴史をご理解いただき、将来を展望する場所となれば幸いです。
史料館のパンフレットをダウンロード
当史料館は、前身の医学部資料室を経て、名古屋大学医学部の歴史とその発展を後世に伝えるために、2021年に開館しました。
館内には、蔵書、医療器具、写真、パネルなどの貴重な史料を3つのエリアに分けて展示しています。
まず1つ目は、医学の歴史と発展を辿るエリアです。ここには、薬瓶やカプセルといった現代にも馴染み深いものから、
杉田玄白らによる歴史的な医学書「解体新書」、さらには発汗を定量的に測定する器具である発汗天秤まで、多彩で珍しい展示物が揃っています。
2つ目は、名古屋大学医学部の歴史にちなんだ展示であり、空襲により崩壊した学舎や病院が復興していく様は、皆さんの胸を打つことでしょう。
3つ目のエリアでは、現在から未来をテーマに、バーチャルリアリティを体験することもできます。
当館は、事前にご予約いただければ、どなたでも無料でご鑑賞いただけます。近年では、多くの図書館や博物館で、
デジタル技術によって保存された資料を現地に赴くことなく閲覧できる時代となりました。当館も一部の資料をデジタルアーカイブとして公開していますが、
ぜひ、厳かな空間で実物の史料と向き合っていただければと思います。
医学の発展に貢献してきた数多の先人たち、そして時代を越えてこれらの貴重な文化を受け継いできた支援者の方々への
敬意と感謝を礎に、医学の未来に向けた新たな視点とインスピレーションを得ていただければ幸いです。
名古屋大学医学部史料館
館長 安藤 雄一