尿排出障害

専門的検査による病態の確認

問診・既往歴・自覚症状などから尿排出障害の原因を評価する。

超音波検査による前立腺肥大症の評価、水腎の有無の評価、尿路結石の有無の評価。

尿流動態検査による、下部尿路機能の評価、下部尿路閉塞と膀胱収縮不全との鑑別。

排泄性尿路造影、膀胱造影による、尿路の形態評価(水腎、尿路結石、膀胱尿管逆流)。

腎機能検査

血清クレアチニンのチェック

薬物治療  詳細は(8)参照

前立腺肥大症に対するα1遮断薬(ハルナール、フリバス、アビショット、ミニプレス、エブランチル、デタントール、ハイトラシン、など)

前立腺肥大症に対する抗男性ホルモン薬(プロスタールなど)

神経因性膀胱にもとづく膀胱収縮障害に対するα1遮断薬(エブランチルのみ保険適応)

神経因性膀胱にもとづく膀胱収縮障害に対するコリン作動性薬(ベサコリン、ウブレチド)は明らかな効果は示されておらず、また膀胱平滑筋の緊張を増大するのみならず、尿道抵抗を同時に増大させ、排尿障害を悪化させることもあり、その有用性は明らかではない。

外科的治療など  詳細は(9)参照

排出障害が下部尿路閉塞に起因する場合

前立腺肥大症に対する経尿道的前立腺摘除術(TURP)

前立腺肥大症に対する高温度治療、レーザー治療などの低侵襲治療

前立腺肥大症に対する尿道ステント

その他、尿道狭窄などの下部尿路閉塞に対する外科的治療

清潔間欠導尿   詳細は(5)参照  

下部尿路閉塞で、薬物治療の効果が不良な場合、外科的治療などが施行できない場合、および膀胱収縮不全においては、清潔間欠導尿を行う。

本人に十分に理解力があり、座位排尿姿勢の保持が可能で、手指を含む上肢の運動に問題がない場合には、自己導尿を指導する。

自己導尿が不可能の場合には介護者、あるいは看護者が施行する。

尿道カテーテル留置  詳細は(3)参照

泌尿器科専門医に紹介された例に対して、専門的評価、および種々の因子にもとづいた排尿管理法の検討をする前に、安易にカテーテル留置を決定することは、行うべきではない。

医学的、環境的、経済的など種々の因子を検討し、介護・看護者と相談の上、他のいかなる方法も困難な場合にのみ、尿道留置カテーテルを用いる。

ただし、カテーテル留置を行っている間は、尿路感染、膀胱結石、尿道皮膚瘻などの合併症の発生について、泌尿器科医自身が定期的にフォローを行うか、一般医にフォローを依頼する。