一時的な尿道カテーテル留置が必要な状況は時にみられるものの、長期的な留置についてはできる限り避けるべきである。

カテーテル留置の絶対的適応

手術後、全身状態不良時、その他医学的理由による一時的留置

膀胱容量が50ml以下と極めて減少した状態(萎縮膀胱)

 以外に尿道カテーテル留置の絶対的な適応は少ない。

 

カテーテル留置の合併症

尿路感染:尿道カテーテル留置中は膀胱炎、尿道炎などの尿路感染は不可避であるが、急性前立腺炎、精巣上体炎など発熱や疼痛を伴う感染については積極的に治療する必要がある。

膀胱結石:異物であるカテーテル周囲に結石ができ、膀胱結石が形成されることがある。

尿道皮膚瘻:カテーテル周囲の尿道炎のため、尿道と皮膚(多くは陰茎腹側と陰嚢の境界あたり)に瘻孔ができることがある。

→カテーテルは頭の方へ向けて下腹部に固定する(下図)。

 

カテーテル交換と膀胱洗浄

カテーテル交換は2〜4週間ごとに行うことが望ましい。

長期臥床者など、常に同じ体位をとっていることの多い者では、膀胱内の一部に常に尿中沈殿物が残存することがあるので、それらを洗うための膀胱洗浄は、結石形成の予防には有用かもしれない。しかし、尿路感染の治療的意義はなく、むしろ膀胱洗浄により尿路感染の機会を増やす可能性もある。特に、高度な尿混濁がなければ、膀胱洗浄はカテーテル交換の時のみでよい。膀胱洗浄によっても、尿混濁が改善されないときは、むしろカテーテルをいったん抜去し、清潔間欠導尿を行うべきである。

カテーテルを下向き(足方向)へ固定すると(↑)の部分で強い屈曲が起こり、慢性炎症・感染のため尿道皮膚瘻(尿道から皮膚へ穴があく)が起こりやすい。

カテーテルを上向き(頭方向)へ固定することにより(↑)の部分は屈曲が無くなり、膀胱皮膚瘻が起こりにくくなる。