小西博之
- 小西博之 Hiroyuki Konishi
- 准教授
- 子供の頃から虫など生き物が好きで、その延長で研究の世界に入りました。博士課程から、研究員、そして現在は助教としてこの研究室にお世話になっています。博士課程に行った神経損傷後発現変動する分子のプロテオミクス解析で、ミクログリア特異的分子に出会った事がきっかけとなり、現在もミクログリアやマクロファージに関する研究を行っています。
Researchmap https://researchmap.jp/read0138943
現在の研究テーマ
ミクログリアは脳内に在住するマクロファージ類縁細胞です。遺伝子発現や機能がマクロファージに似るため、脳内マクロファージとも呼ばれてきましたが、
その別名は適切ではありません。その理由は、脳内の特殊な領域にミクログリアとは形態や一部の分子発現が異なる「本当の脳内マクロファージ」が存在するからです
。ミクログリアと脳内マクロファージには類似点が多い(Iba1やCD11bといったマーカー発現も共通)と思いますが、それらの間で何が異なるかを考えることで、
2種の細胞の新たな機能を見出していこうとしています。
①ミクログリア特異的分子の機能解析
ミクログリアには発現するが、その他の脳内ミエロイド細胞(脳内マクロファージ・血液脳関門の破綻に伴い脳内に浸潤する単球)に発現しない分子は、ミクログリアマーカーとして有用であるだけではなく機能解析の対象としても面白いと考えられます。最近、そのような分子の一つとしてSiglec-Hという膜タンパクを報告しました(Konishi et al, Glia, 2017)。この分子はDAP12やTREM2というアルツハイマー病関連分子と相互作用しながら機能すると考えられています。これらの複合体がどのようにミクログリアの活性制御を行うか機能解析を進めています(Kobayashi et al, Glia, 2015; Kobayashi et al, J Neurosci, 2016)。
②脳内マクロファージの機能解明
脳内の血管周囲、髄膜、脈絡叢と脳室周囲器官には、脳内マクロファージが存在します。古くからその存在は知られていましたが、機能についてはほとんど分かっていません。なぜそのような特殊な局在を取るのか考えながら、機能を解明していきたいと思っています。