CCOGとは
設立の背景
かつて本邦における臨床研究は、単一施設が自らの経験をまとめて発表する形が主流でした。しかしこの方法では国際的な評価が得られず、信頼できるエビデンスとして定着しないことが課題でした。その後、臨床研究の国際的なルールに基づいた「プロトコールの作成」「必要症例数の算出」「多施設共同での実施」の重要性が広く認識されるようになりました。
近年は特定臨床研究制度などの法整備も進み、臨床試験を行う枠組みは整いつつあります。しかし、実臨床を担う医師が日常診療の中で研究に携わり、クリニカルクエスチョンを学術的に解決する機会はむしろ減少しています。
設立の経緯
このような背景の中で、「臨床現場の疑問を、多施設共同で科学的に検証する仕組みを地域からつくろう」という思いから、特定非営利活動法人 中部臨床腫瘍研究機構(CCOG; Chubu Clinical Oncology Group)は立ち上げられました。
設立当初より、中部地方を中心とする大学病院・基幹病院に加え、市中病院の先生方と協力し、日常診療に直結する臨床研究を推進してきました。プロトコールに基づいて治療を行うことで、安全性と妥当性が担保され、さらに研究成果を共有することで、治療水準を全体として引き上げることを目指してきました。信頼性の高い臨床研究を遅滞なく行うためには、施設横断的に医師をはじめとした医療従事者が協力しなければならず、臨床試験の企画、運営を統括し、その研究に必要な資金的、人的、情報的サポートを行う研究支援組織が不可欠です。
CCOGの活動
現在、CCOGは単なる臨床試験の実施組織にとどまらず、次のような幅広い活動を展開しています。
- 研究支援:統計・データ管理、品質保証、メディカルライティング支援
- 教育活動:若手医師・研究スタッフに対する臨床研究方法論、プロトコール作成、症例登録・解析の教育、年次セミナーによる最先端情報の共有、一般市民を対象とした啓蒙活動
- 人材育成:臨床現場での疑問を研究課題に発展させ、次世代の研究者を育成
- 多施設連携:大学病院と市中病院が協力し、現場発のクリニカルクエスチョンを検証
理事長メッセージ
患者さんから得られる日々の臨床データを、科学的に検証し、信頼できるエビデンスに高めることが、がん医療の発展に直結します。CCOGは、市中病院と大学病院が一体となり、日常診療に根ざした臨床研究を推進し、その成果を患者さんに還元することを使命としています。