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高齢者社会にマッチした腎代替療法

この30年間、腎代替え療法として通院HDが行われてきましたが、今日多くのHDセンターで通院HDが困難になってくる患者さんが増え、透析のため長期入院を余儀なくされる場合も少なくはありません。。若い患者さんには腎移植を推進しますが、通常65歳以下までであり、導入期から移植の適応から外れる患者さんは、導入患者の2/3になります。

○日本における透析患者の特徴

 1.透析導入患者の高齢化が顕著である。
 2.糖尿病性腎症が増加し、血管障害、心機能低下患者が増加している。
 3.透析技術の改良(透析膜、透析液、周辺機器等)により長期生存が可能となって
  いる半面、要支援透析患者が増加している。
 4.PDを含め在宅透析療法の普及は遅れている。

このような状況を踏まえて、腎代替療法を検討しなければいけない時代になった事を認識する必要があります。


○高齢者にとってのPD療法のメリットは何か
 1.身体的には、循環器系への負担が少ない。
 2.残腎機能が保持され、少ない透析量で可能。
 3.尿が長い間でるので水分制限が少ない。
 4.食事制限、特にカリウム制限が少なく果物、野菜を食べることができる。
 5.精神的には、生きることの尊厳が保たれ、自立能力を活かせる。
 6.在宅医療であり、治療を受容しやすい点がある。
 7.社会的には、家族の支援が得られる。

厚生労働省が在宅療法を推進する中、高齢者の透析医療も在宅療法を中心に検討すべきであり、上記の理由からPDは高齢者に適した透析方法との見解をもつ医師も多くいます。近年、高齢者において在宅でPDを行い、家族と一緒に幸福で充実した老後・終末期を迎えることが出来たという報告が多くみられます。
実際、我々もPD継続中の高齢者や担癌患者を診療し、そのような経験を持ちPDの有用性を実感しています。
工夫次第で高齢者のADL、QOLの改善も期待が出来ます。入院といった生活環境の変化から高齢者は、認知症等が進行することも少なくありません。在宅での治療は、高齢者にとってこのような視点からも利点となる可能性があります。


高齢者の在宅におけるPDに何が必要か

上記の理由から高齢者腎代替療法としてPDの利用は有用と考えらます。
これらを上手く活用し、医学的要因と社会的要因の両方のメリットを最大限に高齢者腎不全患者に提供する必要があり、そのためには、地域連携やチーム医療の推進がますます重要になります。
在宅治療としてのPDはチーム医療が求められる療法の一つでもあります。
患者や家族、医療スタッフ間での関係はもとより、院内の多職種間で患者情報を共有し患者中心のPD療法の質の向上が今後更に求められてきます。また、独居の高齢者も多く、PDの在宅治療としての継続については介護保険制度の活用、訪問看護ステーションやヘルパーなどによる患者支援連携の確立が望まれます。
実際、名大病院でも超高齢者のPD患者の退院・在宅治療へ移行する際には、多職種(病院(医師、・病棟
Ns・外来PD看護師・ケースワーカー)、訪問診療医師、訪問看護師、ケアマネージャー、訪問ヘルパー)での、カンファランスを実施することを始めています。
このような状況において、愛知県下で高齢者を含めたPDがより在宅で安全に実施するよう具体的な取り組みを名古屋大学および関連施設を中心として開始しました。

まず、在宅で見ることができるよう、
 1.名古屋市の全区および市外各地域にPD対応可能な訪問看護ステーションを育成
  するための教育を実施。
 2.PD
サポートが可能な訪問看護ステーションのリスト作成と公開。
 3.PDの実施可能であり看護師の支援を受けることができる介護施設の紹介。
 4.在宅療養支援所との連携。
 5.介護施設(デイケ
ア)における新たなPD通院実施施設の紹介。

等を進めて、より在宅で高齢腎不全患者がPDを行っていくことができる環境つくりを推進しています。
海外においても、イギリス、フランス、デンマーク等ヨーロッパ諸国では、訪問看護師を入れたassisted PDが発展し、高齢者腎不全患者を在宅で治療しようとする方向で進められています。このためには、訪問看護師への教育も大きい課題です。大学でも、セミナーを年2回開始するとともに、関連施設でも地区の訪問看護ステーションとの密接な連携のため勉強会を開催するようになりました。今後エリアにて、ネットワークつくりを推進し、慢性腎臓病(CKD)対策が進んだように、高齢者の腎不全治療に地域で共通な認識を持つことができるような体制つくりを推進していきます。

    






腎不全システム治療学寄附講座

名古屋大学大学院医学系研究科
腎不全システム治療学寄附講座
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