尿排出障害

排尿姿勢の工夫

排尿姿勢によって尿排出が改善されることがある。

男性では、立位より座位(洋式トイレ式、和式トイレ式)の方が排尿しやすいことがある。

女性では、洋式トイレ式座位より和式トイレ式座位の方が排尿しやすいことがある。

男女とも、臥位よりは座位の方が排尿しやすい。

臥位でも、仰向きよりは、横向き、あるいはうつ伏せの方が排尿しやすいことがある。

それぞれの例にあわせて、できる限り尿排出可能な姿勢を模索する。

日常生活の注意

膀胱内に尿が充満しすぎて、膀胱が拡張し過ぎると排出障害が増悪することがあるので、膀胱内に300ml以上はためない範囲で排尿するように指導する。

飲酒は前立腺の充血などにより、排出障害を増悪することがあり、排尿障害を有する男性において尿閉をきたす原因となる頻度の高いものである。

薬剤の中には、尿排出障害を助長するものがあるので注意する。(詳細は(12)参照)

残尿測定

有意な残尿が存在する例では(>50ml)、尿路感染、膀胱結石、腎機能障害などの合併症をきたす可能性があるので、排出障害のある例では、一度は排尿直後に導尿を行い残尿測定を行うことが望ましい。

清潔間欠導尿 詳細は(5)参照

尿閉例では尿道カテーテルを留置すべきでなく、清潔間欠導尿を導入する。その上で一般医あるいは泌尿器科専門医(泌尿器科専門医が望ましい)を受診する。

自排尿が可能でも、残尿が100ml以上存在する例では、尿路感染、膀胱結石、腎機能障害などの合併症の予防、頻尿や尿失禁の治療のため清潔間欠導尿を導入した上で、一般医あるいは泌尿器科専門医(泌尿器科専門医が望ましい)を受診する。

本人に十分に理解力があり、座位排尿姿勢の保持が可能で、手指を含む上肢の運動に問題がない場合には、自己導尿を指導する。自己導尿が不可能の場合には介護者、あるいは看護者が施行する。

清潔間欠導尿により、排尿状態の改善、残尿量の減少が得られることがあるので、排尿量、残尿量は定期的に測定する。

残尿量が常に50ml以下となるようであればいったん間欠導尿を中断してもよい。

予防的な抗生物質投与は原則的には不要であるが、尿の混濁や排尿痛が出現する、あるいは38度以上の発熱が出現することがあれば、尿路感染を疑い、一般医あるいは泌尿器科専門医を受診する。