診療案内

先端医療

腹腔鏡下肝切除術および腹腔鏡補助下肝切除術

 肝臓は体の右上腹部を占める大きな臓器で、横隔膜および後腹膜と密につながっています。また、肝臓の周囲は肋骨に囲まれていて、外部からの衝撃に守られるように存在しています。そのため、肝部分切除術など小さく肝臓を取る手術においても、十分な視野を確保するために40~60cm程度の創を必要とします(図1)。この方法(開腹肝切除術)は、肝切除術が施行可能な全ての施設で施行されている最も標準的な方法です。
図1

 これに対し、患者さんへの侵襲(体の負担)を小さくすることを目的に、腹腔鏡(補助)下肝切除術が開発されてきました。腹腔鏡下肝切除術は、お腹に4~5ヵ所の穴(1-2cmの創)を開けて行う手術です(図2)。また、腹腔鏡補助下肝切除術は、穴以外に10~12cm程度の創を利用して肝切除を行う方法です(図3)。腹腔鏡(補助)下肝切除術の長所として、創が小さいため美容面で非常に優れているだけでなく、患者さんへの侵襲が少ないので、手術後の回復が早く早期退院および早期社会復帰が可能となります。
図2 図3

 しかしながら、腹腔鏡(補助)下肝切除術は開腹肝切除術と異なり現時点では限られた施設でしか施行することができません。当教室は腹腔鏡(補助)下肝切除術を積極的に導入している施設です。腹腔鏡(補助)下肝切除術の対象となる疾患は、肝臓癌、転移性肝癌、一部の胆嚢癌、手術が必要と診断された肝良性腫瘍です。また、従来では腹腔鏡下肝切除が困難と考えられていた、開腹手術歴のある患者さん(図4)や複数個所の肝切除が必要な患者さん(図5)に対しても、積極的に腹腔鏡(補助)下肝切除を導入しています。さらに、肝機能不良のために開腹肝切除術が選択できなかった患者さんに対しても、その低侵襲性から腹腔鏡(補助)下肝切除を選択する試みが行われています。
図4 図5

 腹腔鏡(補助)下肝切除術にかぎらず、肝臓に関して何かお聞きになりたいことがありましたら、当科担当医師に遠慮なくご相談ください。