泌尿器科の病気について
尿路結石

治療

結石の大きさ、位置、成分などにより様々な治療選択肢があります。

4~5mm以下の結石は自然に排出することが多いので、保存的治療を行います(5mm以上の結石でも自然排出は期待でき、10mm以下の尿管結石も約60%は1か月以内に自然排出されます)。

薬物治療

漢方薬、鎮痙薬、などを使用することがありますが、明らかに有効性の証明された薬剤はなく、また保険適用のある薬剤もありません。

結石溶解療法

尿酸結石とシスチン結石は、アルカリ性の溶液中では溶けやすいため、尿をアルカリ性にするためにクエン酸製剤(ウラリットなど)を投与します。また、尿酸結石で、高尿酸血症を伴う場合には尿酸の生成を抑制する薬を投与します(ザイロリックなど)。またシスチン結石では、尿中のシスチンを溶けやすくする薬(チオラ)を投与します。

飲水

1日に2L程度の水分を摂って尿量を増やすことにより、結石の排出を促進します。

自然排出の難しい結石

保存的治療で排出しない結石や、サイズが大きくて自然排出が期待できない結石は、体外衝撃波結石破砕(ESWL)や外科的治療によって結石を摘出します。

体外衝撃波結石破砕術(ESWL: Extracorporeal Shock Wave Lithotripsy)

X線や超音波で尿路結石に標準をあわせ、体の外から衝撃波を結石に向けて当てて(2000~3000発を30分程度で当てます)、尿路の中で結石を細かく砕く治療です。砕かれた小結石片は、尿とともに徐々に自然排出されます。主に2cm以下の腎結石がよい適応となりますが、尿管結石にも行います。詳細な適応は、結石の位置、大きさ、経過によって異なりますので、主治医と相談してください。

経尿道的尿管結石砕石術(TUL: Transurethral Uretherolithotripsy)

尿道から尿管鏡を尿管内に挿入し、結石を破砕、摘出を行う手術です。尿管鏡は硬性(金属製で硬い)あるいは軟性(胃カメラのようにファーバー製で軟らかい)があり、結石の場所などによって使い分けます。2cmより小さい結石であれば、尿管でも、腎盂内でも結石の破砕・摘出を行うことができます。結石の破砕は、超音波やレーザーなどで行い、通常は破砕した結石片も鉗子などで取り出します。

泌尿器Cure & Care Uro-Lo、21(5)、p32、2016(射場昭典、経尿道的尿管結石砕石術ってどんな手術?)より転載

経皮的腎砕石術(PNL:Percutaneous Nephrolithotripsy)

背中から1cm程度の通路(トラクト)を作り(レントゲン透視下に背中から細い針で腎臓を穿刺し、徐々に太い管に入れ替えながら、最終的に直径1cm程度の皮膚から腎臓内までの通路を作ります)、内視鏡を挿入し、腎臓(腎盂・腎杯)内の結石を、破砕して、摘出する手術です。腎臓内の大きな結石の治療も行うことができます。結石の破砕は、超音波やレーザーなどで行い、破砕した結石片も鉗子などで取り出します。

泌尿器Cure & Care Uro-Lo、21(5)、p44、2016(井上貴昭、ESWLとPNLの併用ってどんな手術?)より転載

再発予防

尿路結石は自然排出あるいは治療により摘出しても40~60%で再発するため、再発の予防が課題です。確実な予防方法はありませんが、1日に2L以上の水分を摂取する、過食を避ける、適度な運動、バランスのよい食事を取る、夕食から就寝までの時間を4時間以上あける、などの生活習慣の改善は有用です。尿酸結石やシスチン結石など、明らかな原因疾患がある場合には、それらの治療や尿のアルカリ化などが有用です。