尿路結石
尿路結石とは
尿路結石とは、尿路に結石が形成される病気で、結石のある部位によって、腎結石、尿管結石、膀胱結石、尿道結石と言います。小さい結石であれば、尿といっしょに排泄されることがありますが、そうでない場合には手術などによって治療する必要があります。結石の原因としては、体質、代謝異常、内分泌疾患や、その他にも食生活などの生活習慣や肥満などがあげられます。
尿路結石の分類
結石の成分によって分類され、成分の違いにより原因、治療法や予防法が異なります。最も頻度が高いものはシュウ酸カルシウム結石です。
症状
結石があっても無症状のことも少なくありません。例えば、腎臓(腎盂や腎杯)に結石があっても、尿の流れを障害することがなければ、全く症状がないこともあります。しかし、結石の位置や大きさによって、痛みや血尿が起こります。
痛み(疼痛)発作
腎臓にある結石が尿管に移動したり、あるいは尿管内の石がさらに下降したりして、尿管が急につまると、腎盂内の圧が急激に上昇することによって、急に激しい痛み(疼痛発作)が起こります。痛みの部位は結石のある側腹部から背中で、同じ側の足に痛みが走ることもあります。通常、この痛みは激痛で、じっとしていても、体を動かしても痛みは変わりません。あまり痛みが強いと、反射で吐き気が生じ、嘔吐することもよくあります。
尿管の通過障害が慢性にあると、結石のある側の側腹部から背中に鈍痛があることがあります。
頻尿・残尿感
尿管の結石が膀胱付近まで下降すると、膀胱刺激症状(頻尿や残尿感)が起こることがあります。
血尿
結石が尿路の粘膜と擦れて、血尿が出ることがありますが、目で見える程度の血尿や、肉眼的にはわからない程度の軽度の血尿(顕微鏡的血尿)がみられることがあります。
尿路結石の頻度
尿路結石はまれな病気ではなく、人口10万人に対して134人に発生すると言われており、頻度は徐々に増加しています。尿路結石の発生率の増加の原因としては、食生活や生活様式の欧米化、診断技術の向上による発見率の増加、人口の高齢化などが言われています。最近、メタボリック症候群と様々な病気との関連が指摘されていますが、実は尿路結石の発生もメタボリック症候群と関連していることが最近指摘されています。
尿路結石の再発率
尿路結石は小さいものは自然に排出したり、大きいものでも治療によって取り除くことができますが、再発率は非常に高く、5年間で45%、10年間で60%が再発すると報告されています。したがって、結石の治療に加えて、再発予防が重要な課題となります。
検査と診断
急激な疼痛発作が背中に起こり、尿検査で血尿が認められた場合には尿管結石が強く疑われます。また、症状がなくても、肉眼的血尿があったり、健診などで顕微鏡的血尿(尿潜血)が指摘された場合には、尿路結石の可能性も含めて精密検査が必要となります。また、健診などの超音波検査やCTで尿路結石が偶然見つかることもあります。泌尿器科では、尿路結石の診断のために以下のような検査を行います。
1.尿検査と超音波検査
まず最初に行う検査です。尿検査で血尿の有無や、結石の成分を形成する結晶の有無を検査します。また、尿路感染の有無についても検査することができます。さらに、尿中のカルシム濃度や、シスチン結石の原因となるシスチンなどのアミノ酸を測定することにより結石の原因のてがかりが得られることがあります。また、尿酸結石やシスチン結石のように尿のpHが酸性の場合にできやすい結石もあるので、尿のpHを調べることもあります。腎臓の超音波検査で、腎臓の結石の有無や水腎症(尿管が結石によって閉塞することによって腎臓が腫れる)の有無を確認します。腎臓の結石は超音波検査で直接描出できますが、尿管は体の奥にあるため、尿管の結石を超音波検査で直接確認することは困難です。
2.血液検査
一般採血検査以外に、腎機能のチェックのため血清クレアチニン検査を行います。また、結石の原因となることのある副甲状腺機能亢進症の検査のために、血中のホルモン検査を行うこともあります。
3.腹部単純写真
レントゲンにより、結石の位置を診断しますが、小さい結石が骨盤の骨と重なる位置にある場合には確認することが難しいことがあり、また、結石によってはレントゲンに映りにくいもの(レントゲン透過性の結石)(尿酸結石やシスチン結石)もあります。
4.CTスキャン
単純CT(造影剤を使用しない)は、尿路結石の存在や場所を正確に診断することができますので、尿路結石の診断には標準的な検査としておこわなれます。レントゲン透過性の尿酸結石やシスチン結石もCTで明瞭に診断することができます。
5.静脈性尿路造影
静脈から造影剤を注射して、腎臓から尿への造影剤の排泄に合わせてレントゲンを撮影することにより、尿路系(腎盂から尿管)を描出する検査で、以前は尿路結石の場合には全例で行われましたが、最近はCTスキャンの実施により、行われることが少なくなりました。
6.結石成分分析
自然に排出したり、手術などで摘出した結石は、その成分を分析して調べることでわかります。結石の成分を知ることにより、原因の検査や予防に役立つことがあります。