<研究課題 概要>

研究課題: ダウン症関連急性巨核芽球性白血病の発がんメカニズムの解明

研究の趣旨:

ダウン症 (DS) 児の約10%が、新生児期に一過性異常骨髄増殖症 (TAM) を発症し、一旦は自然軽快するものの、その約20%が4歳までに急性巨核芽球性白血病 (DS-AMKL) を発症します。また、TAMの発症にGATA1遺伝子が関与することが知られています。最近、我々は、次世代シークエンサーを用いた網羅的解析により、DS-AMKLの発症にコヒーシン関連遺伝子(RAD21、STAG2)、CTCF遺伝子、エピジェネティクス関連遺伝子(EZH2、KANSL1)などが関与することを明らかにしました(図1)。本研究の目的は、これらの遺伝子変異を、TAM発症からAMKL発症までの複数の時点において解析し、TAMにおける自然軽快の経過や、DS-AMKL発症までのclonal evolutionを明らかにすることです。

研究の目的:

GATA1、コヒーシン関連遺伝子(RAD21、STAG2)、CTCF遺伝子、エピジェネティクス関連遺伝子(EZH2、KANSL1)などの遺伝子変異を、TAM発症からAMKL発症までの複数の時点において解析し、TAMにおける自然軽快の経過や、DS-AMKL発症までのclonal evolutionを明らかにすることです。

研究の方法:

DS児の出生時(生後1カ月まで)の末梢血由来DNAを対象に、次世代シークエンサーを用いて、GATA1遺伝子の高感度な検出を行います。
遺伝子変異が確認された症例について、3カ月ごとに末梢血検体を採取します。RAD21、STAG2、NRAS、CTCF、DCAF7、EZH2、KANSL1、TP53、KRAS、PTPN11、JAK1、JAK2、JAK3、MPL、SH2B3遺伝子を標的としてシークエンスを解析し、新たな変異を携えた腫瘍クローンの発生タイミングや、新たな腫瘍クローンの腫瘍内における拡大、すなわちclonal evolutionを明らかにします。

研究の経過(2017年4月現在):

ダウン症7例が登録されました。5例でGATA1解析が終了していますが、いずれも変異を認めませんでした。残る2例は現在解析をすすめています。
GATA1変異を認めた場合、急性巨核芽球性白血病発症に関与すると考えられる遺伝子変異について経時的に解析を行う予定です。

研究機関:

名古屋大学大学院医学系研究科小児科学

連絡先:

研究代表者
名古屋大学小児科学 市川大輔
〒466-8550 名古屋市昭和区鶴舞65
TEL: 052-744-2298
FAX: 052-744-2974
Email: asahito@med.nagoya-u.ac.jp(@を半角@に変えて送信してください)

各大学研究担当者
愛知医科大学: 宮田憲二、武藤大輔
名古屋市立大学: 伊藤康彦、加藤丈典
名古屋大学: 市川大輔、村松秀城、奥野友介
藤田保健衛生大学: 三浦浩樹、内田英利