<研究課題 概要>

研究課題: COVID-19のワクチン関連心筋炎と感染による心血管合併症に関する、愛知県下小児例の疫学調査と原因検索

研究の趣旨:

 小児に対する新型コロナウイルス(COVID-19)ワクチン接種が開始されて以来、ワクチン関連心筋炎の発症頻度が成人例よりも小児例に高いことが海外の疫学調査で報告されている。一方で、COVID-19感染に伴う小児期特有の心合併症がある。小児多系統炎症性症候群(MIS-C)はCOVID-19感染により2系統以上の臓器障害をきたす症候群であり、その多くは心臓臓器障害を引き起こす。しかし、これらの日本の疫学データは明らかにされておらず、疾患発症メカニズムも不明のままである。 本研究の主目的は、愛知県下における小児期のCOVID-19ワクチン関連心筋炎とMIS-Cの疫学を調査することである。また、副次目的として、それぞれ特有の自己抗体や疾患感受性遺伝子の存在を明らかにしたい。本疫学研究により、ワクチン関連心筋炎やMIS-Cに対する今後の対応策を提示できるだけでなく、発症メカニズムの解明へと応用できる可能性がある。

研究の目的:

本研究の目的は、小児期のCOVID-19ワクチン関連心筋炎と感染による心血管合併症を疫学的に調査することにより、それらの特徴を見出し、今後の新たに発症しうる子供たちの予防策や、すでに発症してしまった子供たちのへ対応策を提示することであります。さらに、原因となる“自己抗体”の存在や“原因遺伝子”の存在を明らかにしてその原因を究明することが目的です。

研究の方法:

COVID-19ワクチン関連心筋炎症例についての疫学調査は以下の項目を取集する。年齢、性別、人種、基礎疾患の有無とその内容、ワクチン製造会社、接種回数、接種後の発症日、症状、検査所見、心筋炎に対する治療内容、入院期間、一か月後の心臓異常所見の有無、本研究に関する血液検体採取の同意の有無と検体採取時の発症病日と治療内容。 COVID-19感染によるMIS-Cまたは心筋炎・心膜炎症例についての疫学調査は以下の項目を行う。年齢、性別、人種、基礎疾患の有無とその内容、ワクチン接種歴、接種回数、症状、検査所見、治療内容、入院期間、一か月後の心臓異常所見の有無、本研究に関する血液検体採取の同意の有無と検体採取時の発症病日と治療内容。 MIS-Cに対する感受性遺伝子は既報のSOCS1,XIAP,CYBBを対象に変異の有無を評価する。また、網羅的な自己抗体検査を行い、対象群との比較からワクチン関連心筋炎に特異的な自己抗体を同定する。

研究期間:

・COVID-19ワクチン関連心筋炎:2021年5月1日から2024年3月31日まで
・COVID-19感染による心臓血管関連疾患:2020年1月1日から2024年3月31日まで

共同研究機関:

愛知医科大学、名古屋大学、藤田医科大学、あいち小児保健医療総合センター、大同病院、日本赤十字社愛知医療センター名古屋第二病院、豊橋市民病院、名古屋市立大学医学部附属東部医療センター、岡崎市民病院、KKR名城病院、小牧市民病院、江南厚生病院、トヨタ記念病院、半田市立半田病院、春日井市民病院、公立陶生病院、名古屋記念病院、日本赤十字社愛知医療センター名古屋第一病院、一宮市立市民病院

研究協力機関:

蒲郡市民病院、聖霊病院、総合大雄会病院、みよし市民病院、厚生連 海南病院、厚生連 足助病院、星ヶ丘マタニティ病院、西部医療センター

連絡先:

研究代表者
名古屋市立大学大学院 新生児小児医学分野 連絡先:052-853-8246(対応可能時間帯):9:00-17:00(平日のみ)
研究代表者:篠原務

各大学研究担当者
愛知医科大学:森 啓充 
名古屋市立大学:篠原 務 
名古屋大学:川田潤一 
藤田医科大学:齋藤和由