研究課題:
愛知県内におけるロタウイルス感染重症例
(脳症・突然死・消化管出血・尿路結石)の発生動向調査
研究の趣旨:
ロタウイルス胃腸炎は、先進国においては下痢や嘔吐に伴う脱水治療目的の外来受診、入院治療が医療経済的な観点から問題になるが、一般に予後良好なウイルス下痢症である。しかしながら、稀に重篤な合併症を起こし中には致死的な経過をたどる症例もある。2010/11シーズンに、愛知県内で4例の脳症あるいは突然死による死亡例、1例の脳症後の重度後遺症例が明らかになっており、それを契機に全国調査が実施され年間約50例の脳症、5例の突然死例発生が推測されている。一方、2011年から弱毒生ワクチンの使用が可能になり、名古屋市などでは一部公費負担も開始され、本胃腸炎患児の減少が期待されている。研究の目的:
- 1.ロタウイルス胃腸炎に伴う重症合併症、特に本研究では脳症、突然死に加え新たに消化管出血、尿路結石も対象としてその発生頻度を明らかにする。
- 2.年度毎の発生頻度の推移を明らかにすることにより、ワクチン導入効果を解析する。
- 3.前方視的調査により、病態解明を進める。
- 4.分子疫学的解析を行うことにより、ワクチン導入に伴う新規遺伝子型の流行モニタリング。
研究の方法:
愛知県内の小児科入院施設でのロタウイルス感染に伴う重症合併症(脳症・突然死・消化管出血・尿路結石)を後方視的に調査。さらに、同様の研究内容を前方視的研究として継続。対象期間: 2008/2009シーズンから2012/2013シーズンの5シーズンと2013/14シーズンから2017/18シーズンの5シーズンで調査を行う。
【各合併症症例のエントリークライテリア】
- ①脳症:GCS13以下の意識障害が24時間以上続く、あるいは異常行動・言動が1時間以上続き、頭部CT、頭部MRI、脳波検査のいずれかで異常所見を認めた場合。2相性のけいれんと上記同様の意識障害を認めた場合。
- ②突然死:意識障害のない児が突然の心肺停止を起こした(気付かれた)病院へ搬送、最終的に死亡した場合。
- ③消化管出血:胃内容物あるいは便のヒトHb陽性を認めHbが10g/dL以下の場合。
- ④尿路結石:腹痛、血尿などで尿路結石が疑われ、画像検査(腹部単純レントゲン、静脈性腎盂造影(IVP)、超音波、CT)で確定診断された場合。
研究機関:
愛知県下の小児科入院施設。研究の経過 (2017年4月現在):
2008/2009から2012/2013の5シーズンの研究は終了しております。現在論文投稿中のため、結果は論文が受理された後に掲載いたします。研究は終了しておりますが、ロタの検体の解析は引き続き受け入れておりますので、下記連絡先までご相談ください。
連絡先:
研究代表者藤田保健衛生大学医学部小児科 服部文彦
〒470-1192
TEL: 0562-93-9251
FAX: 0562-95-2216
Email: kuma2315@outlook.jp(@を半角@に変えて送信してください)
各大学研究担当者
愛知医科大学: 北川好郎
名古屋市立大学: 伊藤孝一
名古屋大学: 川田潤一
藤田保健衛生大学: 河村吉紀