四大学教授あいさつ

愛知県四大学小児科共同研究HP開設に期待する



名古屋市立大学大学院医学研究科新生児・小児医学分野
 教授 
齋藤 伸治

 2013年3月に初めて打ち合わせを行い、2013年10月に第1回、2014年5月に第2回愛知県小児臨床研究会(APeCS)を実施しました。愛知県四大学小児科の共同研究は着実に発展しています。そして、いよいよホームページが開設されることになりました。
 このホームページが私たちの共同研究の情報交換の場として、そして、世界へ向けての情報発信の場として大きく飛躍することを期待しています。
 今日の臨床研究は、1つの施設で行うことは困難です。726万人の人口を抱える愛知県は四大学の小児科が小児医療を担っています。私たちが共同することで、地域を余すことなくカバーする他に類を見ない臨床研究のフィールドが出現することになります。愛知県で臨床研究を行い、成果を得ることは、協力してくださる沢山の患者・家族に最良の医療を提供することに他なりません。共同研究を通じて、私たち小児科医と愛知県の患者・家族が共に成長できることを願っています。

愛知県小児臨床研究会/愛知県四大学小児科共同研究HP開設によせて




藤田保健衛生大学医学部小児科学
 教授 
吉川 哲史

 小児科に限らず、最近日本からの英語科学論文数の減少が危惧されています。
 若いころ、mentorである浅野先生から新知見を論文化して世界に向けて発信することの重要性を口酸っぱく言われ続けました。そのためには、研究室で試験管を振ることに加え、ベッドサイドで患者さんを詳細に観察し疑問点を見出し、それを自らの手で解決するという姿勢が大切です。
 愛知県内の若手の小児科医の皆さんがこのようなリサーチマインドを持った小児科医になること、これはこの地域の小児医療のレベルアップにつながると確信しています。四大学が協力して、それぞれの得意分野を生かし臨床研究を行うという本プロジェクトを通して、一人でも多くの若手小児科の先生がインターナショナルに活躍できるようになれば、本プロジェクトの目的は達成されると思います。また、そのような環境を整えることが、将来的に愛知県の小児医療レベルの向上につながることを願ってやみません。

臨床医における研究




愛知医科大学医学部小児科学
 教授 
奥村 彰久

 どうして私たちは研究する必要があるのか、臨床の現場でバリバリ働いている若いドクターにはピンと来ないかもしれません。
 研究なんて一部の人がやれば良く私たちには関係がないと思っても不思議はないでしょう。しかし、臨床の現場で疑問に思うことはないでしょうか。
 教科書に書いてあることと自分の実感がどうもしっくり合わないことはないでしょうか。病気の子どもたちにもっとできることがあるのではないかと思ったことはありませんか。
 臨床における研究とはこのような疑問を解決して、自分の診療レベルを上げていく営みそのものです。決して難しく考える必要はありません。ただし、研究には一定の作法がありそれに則って行う必要があります。そこが四大学共同研究の出番です。皆さんが解決したい課題を提案すれば、高いレベルの指導を受けながらその解決を模索することができるのです。ここから発信された情報が、もしかしたら日本の、あるいは世界の小児科医に影響を与えるかもしれません。そう考えるとワクワクしませんか。皆で楽しく研究しましょう。

愛知県小児臨床研究会(Aichi Pediatric Clinical Study Group : APeCS)への期待



名古屋大学大学院医学系研究科小児科学/成長発達医学
 教授 
高橋 義行

 我が国では、現在少子化が進行していますが、成人では複数の内科がカバーする領域を小児科単科で担当しなければならず、また、少子化だからこそ小児科各専門領域のニーズはむしろ高まっている状況にあります。ひとつの施設ですべての専門領域において良い医療や研究を行うことは現実的ではありませんが、愛知県四大学小児科が協力することで、他の地域では行いがたい希少疾患を対象とした臨床研究や大規模の臨床研究が可能となります。専門分野に限らず、一般小児診療において疑問に思っていたが答えが得られていなかったことを明らかにする臨床研究も可能です。
 愛知県の小児人口は100万人に達しており、2015年の愛知県人口千人当たりの出生率は、全国第3位です。そのような愛知県だからこそ、小児の診療、研究、教育の協力体制を確立して発信していくことは、我が国のモデルケースになるはずです。臨床の現場で注意深く観察し、その疑問から常に新しい研究が生まれます。臨床研究は「エビデンス」をもとに答えを探す作業ですが、何を明らかにしたら患者さんの役に立つのかは、「臨床医の洞察力」が必須と私は教えられてきました。どんな形でもよいので、臨床研究に関わってみると、日々最適解の取捨選択を繰り返す臨床現場での考え方が、より一層深みあるものになります。
 APeCSの共同臨床研究が、愛知県の小児医療の向上とともに、患者さんにも、この地域の小児科医にとっても、実りあるものになることを確信しています。