子宮内膜症・子宮筋腫について

1)子宮内膜症について

子宮内膜症は生殖年齢にある女性の20-40%にみられるともいわれ、不妊症の原因として問題になるばかりでなく、疼痛(月経痛、慢性骨盤痛、性交痛)は普段の生活をもおびやかす女性にとって非常に悩ましい疾患です。また子宮内膜症による卵巣嚢胞(チョコレート嚢胞)の中には、少数ですが卵巣癌が合併することもあり、子宮内膜症の診断・管理・治療は複雑なものとなっています。当院では国内外の最新の文献と当院での臨床データに基づき、MR、エコー等による的確な診断後、低用量ピル・GnRHアナログ・ジェノゲスト・鎮痛剤等の薬物療法、腹腔鏡もしくは開腹による手術療法、また不妊症の患者さまには不妊治療を効果的に組み合わせて治療にあたっております。当然の事ながら、正常卵巣組織の温存には最大限配慮し、手術をおこなっております。

2)子宮筋腫について

子宮筋腫も内膜症同様、生殖年齢の女性に多くみられる疾患です。過多月経から貧血をきたすほか、精子の子宮内での移動や受精卵の子宮内膜への着床を障害するなどして不妊症の原因になると考えられています。子宮摘出手術を行わない限り再発の多い疾患ですので、薬物療法および腹腔鏡・子宮鏡もしくは開腹による手術療法を組み合わせて治療をおこない、極力再手術の必要のないよう努めています。子宮を温存し筋腫のみを摘出する手術(筋腫核出術)では、必要に応じ自己血を貯血し、手術にあたっております。当然ながら、今後の妊娠を念頭におき、子宮へのダメージは最小限にとどめ確実・丁寧な縫合をおこなっています。