新学術領域研究(研究領域提案型) 脳タンパク質老化と認知症制御 国際活動支援班

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国際活動支援報告

2018年9月20日(木)

招聘者:Stella M. Papa, Yerkes National Primate Research Center, Emory University, Atlanta, Georgia, USA. / Department of Neurology, Emory University School of Medicine, Atlanta, Georgia, USA.

受け入れ報告
現在、我々の研究室では新学術領域研究「脳タンパク質老化と認知症制御」の公募班プロジェクトとして、パーキンソン病モデルマウス、マーモセットの開発およびそれらを用いた病態解明、治療薬開発研究を行っている。今回、それらの指導のために、Emory大学のStella M Papa教授を招聘した。Papa教授は、霊長類を用いた神経変性疾患、特にパーキンソン病研究において、第一線で活躍されている。我々は、Papa教授と以前から共同研究を推進している。現在、当科から留学中の別宮が筆頭著者で、movement disorder誌にパーキンソン病の運動合併症であるジスキネジアの新規治療薬に関して論文を報告した。今回の招聘では、そのジスキネジア治療薬開発に関する公開の講演会を開催し、多数の聴衆が参加した。また、個別には、脳神経内科のみならず、脳神経外科のグループとも研究討論会を何回か開催した。
具体的には、我々が、最近、変異シヌクレインを用いた新たなパーキンソン病モデルマウスの作製に成功しており、Papa教授に評価、討論して頂き、論文化を進めている。また、パーキンソン病モデルマーモセットの開発に関しては、マーモセットの黒質へ化合物を直接投与するモデルを開発している。これに関しても、Papa教授に担当スタッフと共に実際にマーモセットモデル作成手術に参加して頂き、技術指導を頂いた。術前術後の管理など、細かい点でもご指導頂いた。更に、現在、このパーキンソン病モデルマーモセットの運動機能の評価の為に開発中である、運動機能解析装置マーモディテクターに関しても、実際の測定を見て頂き、改良点等の指摘をえた。このマーモディテクターの開発に関しても、共同研究として論文投稿中である。これら、マーモセットに関して、技術、方法論全てにおいて、専門家であるPapa教授の意見をもらえたことは大変大きな収穫であった。今後も、パーキンソン病モデルマウス、マーモセットに関して共同研究を行っていく方針となった。
また、当教室が主催者として若手研究者向けのMDS-AOS summer schoolを8月に大阪で2日間開催したが、Papa教授にはfacultyとして参加して頂いた。それぞれの発表に対して活発な議論に加え、各国の若手研究者にも多くのアドバイスを頂き、盛会の一因になったと言える。最後に、新学術領域研究「脳タンパク質老化と認知症制御」招聘プログラムからご支援頂き、代表の祖父江先生及び関係者の皆様に深謝いたします。

大阪大学大学院医学系研究科 
神経内科学 
教授 望月秀樹