新学術領域研究(研究領域提案型) 脳タンパク質老化と認知症制御 国際活動支援班

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国際活動支援報告

2018年8月9日(木)

訪問者:愛知医科大学 岡田 洋平

【研修報告】ISSCR(International Society for Stem Cell Research) Annual Meeting 2018

《研修報告》
2018年6月20日から23日までの4日間、オーストラリアのメルボルンで開催されたISSCR(International Society for Stem Cell Research:国際幹細胞学会)Annual Meeting 2018に参加させていただきました。
今回の学会では、これまでに取り組んできた球脊髄性筋萎縮症(Spinal-bulbar muscular atrophy: SBMA)の疾患特異的iPS細胞を用いた早期病態の解析と神経・筋相互作用に着目した解析について発表させていただきました。SBMAは比較的稀な疾患ではありますが、その病態解析は同じ運動ニューロン疾患である筋萎縮性側索硬化症(Amyotrophic lateral sclerosis: ALS)や脊髄性筋萎縮症(Spinal Muscular Atrophy:SMA)の解析へも応用し得る部分も多く、この分野の研究者とも有意義なディスカッションができました。特にコロンビア大学Motor Neuron Center の研究者からは、我々の解析の特筆すべき点から問題点まで様々なコメントをいただき、今後の研究の展開に向けた重要なヒントを数多く得られたと思います。さらに、運動ニューロンと骨格筋の共培養や多電極アレイを用いた解析など、企業研究者や工学系研究者など多くの方に興味を持っていただくことができ、その中から新たな共同研究もスタートしました。

また、今回の学会では、iPS細胞の自己組織化技術(オルガノイド)や、Single cell sequenceなどの技術を組み合わせた新たな手法を用いた解析が数多く発表されており、幹細胞を用いた発生・病態研究技術のレベルアップを実感しました。我々もこれらの新たな手法を積極的に取り入れて、研究を発展させていく必要性があると強く感じました。

(2)新学術領域研究への貢献
多くの神経変性疾患では変異タンパクの蓄積に着目した解析が主に進められていますが、本研究では、むしろ変異タンパク蓄積前の早期病態や細胞間相互作用に着目した解析を行うことで、これまでとは別の視点で変異タンパク蓄積と病態発現との関連を明らかにできると考えています。
今回の学会参加、発表に際しまして、新学術領域からのご支援を賜りましたことに深謝いたします。

愛知医科大学
内科学講座(神経内科)
岡田 洋平