新学術領域研究(研究領域提案型) 脳タンパク質老化と認知症制御 国際活動支援班

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国際活動支援報告

2018年7月17日(火)

訪問者:慶應義塾大学 中村 真理

【研修報告】5th International Conference on Molecular Neurodegeneration (ICMN2018)

《研修報告》
平成30年6月11日から6月13日までの3日間、スウェーデン・ストックホルムで開催された5th International Conference on Molecular Neurodegeneration (ICMN2018)に参加しました。
この学会は神経変性疾患の研究に特化した比較的小規模な学会だったので、自分の研究と関連する演題を数多く聞くことができ、また他の参加者と話しやすいことが印象的でした。今回は異なる神経変性疾患の「共通する病理及び病態メカニズム」がテーマであり、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病を始めとする様々な神経変性疾患に関する演題がありました。また、演題の内容に関しても、Aβを標的とした臨床試験の最新データから、近年研究が活発に進められている神経炎症など、基礎から臨床まで、幅広いトピックが議論されており、非常に勉強になりました。自分自身は2日目にポスター発表を行い、タウ遺伝子に変異を持つFTD患者から樹立したiPS細胞を用いた病態モデルの構築及び病態解析について発表しました。多くの人が訪れてくださり、企業や臨床研究を行っている方にも興味を持っていただきました。また、学術雑誌Molecular Neurodegenerationの編集者が学会を主催していたこともあり、編集者の方々からは論文化に向けた有意義なコメントをいただきました。いただいた貴重なコメントや見解を受けて、今後さらに自身の研究の発展のために邁進したいと思います。
この時期北欧は白夜であるため、夜の10時くらいまで明るく、1日のセッションを終えた後でも、遅い時間まで外を楽しむことができました。ストックホルムといえば、毎年ノーベル賞の授賞式が行われる街として有名で、観光スポットとしてノーベル博物館があります。また、「水の都」という名の通り、街のあらゆるところが水で囲まれており、さらには宮殿や教会等の威厳ある古い建物が多く、街並みが美しかったのも印象的でした。
次回のICMNは2020年に日本の岡山県で行われる予定だそうなので、神経変性疾患の研究者の方々にはぜひとも参加をお勧めしたいです。
最後になりますが、このような機会をいただきましたことを、この場をお借りして感謝申し上げます。

(2)新学術領域研究への貢献
私たちの班は、ヒトiPS細胞を用いたin vitroタウオパチーモデルを作成し、治療法開発に向けた病態解析を行っています。今回の学会では、様々な神経変性疾患に共通する病態メカニズムが議論されており、自身の研究にも取り入れられるアイデアを多く学ばせていただきました。今後はこれらを活かし、タウオパチーのメカニズム解明を進めることで、新学術領域研究に貢献したいと思います。

慶應義塾大学医学部
生理学教室
中村 真理