新学術領域研究(研究領域提案型) 脳タンパク質老化と認知症制御 国際活動支援班

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国際活動支援報告

2018年1月12日(金)

訪問者:慶應義塾大学 徳田栄一

【派遣報告】28th International Symposium on ALS/MND

発表演題名:Development of peptides that specifically recognize misfolded SOD1 proteins in amyotrophic lateral sclerosis
(1)学会報告
 まず初めに、平成29年度の本領域 海外学会派遣プログラムにおきまして採択賜りましたことに御礼申し上げます。2017年12月8日~10日に米国マサチューセッツ州ボストンで開催された28th International Symposium on ALS/MNDに参加してきました。ボストンは米国の北東部に位置し、独立戦争の舞台となった歴史ある都市です。また、ハーバード大学やマサチューセッツ工科大学などの世界的に有名な大学があり、学園都市としての一面も魅力のひとつです。
本シンポジウムは、ALS分野で最も大きい学術会議で、今年度は世界37ヵ国から約1,200名が参加しました。私は「SOD1 ALS: From pathology to therapy」というセッションで口頭発表を行いました。本セッションでは、SOD1遺伝子とALSの関係を世界で初めて明らかにしたBrown教授(University of Massachusetts Medical School, USA)と変異SOD1の発見以来、SOD1 ALS研究を牽引するBeckmann教授(Oregon State University, USA)が座長を務められました。。ALSにおけるSOD1研究は、以前に比べると下火の印象を受ける方も多いと思います。ですが、SOD1 ALS分野におけるレジェンド研究者の両教授が一堂に会する様子は、SOD1研究の最盛期にタイムスリップしたような懐かしい印象を受けました。セッション内の発表はどれも興味深く、議論は白熱し、SOD1研究も捨てたものではないと感じました。セッション終了後は、Beckmann教授(左2人目)、ポスドク時代にお世話になったAndersen教授(Umeå University, Sweden, 右2人目)、SOD1の生物物理学研究で著名なWright博士(University of Liverpool, UK, 左端)と討論、及び、記念写真を撮る機会があり、有意義な時間を過ごすことが出来ました。

(1)新学術領域研究への貢献
SOD1は本領域の主題でもある脳タンパク質の一種であり、老化に伴い進行するミスフォールディングによって毒性を獲得し、ALSを発症させるのではないかと考えられています。今回、私はファージを利用したミスフォールド型SOD1の新たな検出手法に関する発表を行いました。本成果をさらに発展させ、脳タンパク質の老化に伴い発症する疾患の病理についての解明を研究目的とする本領域に貢献していく所存です。

慶應義塾大学 理工学部
助教 
徳田栄一