新学術領域研究(研究領域提案型) 脳タンパク質老化と認知症制御 国際活動支援班

ホーム > INFORMATION > 国際活動支援報告 > 研究者の研究成果発表のための短期海外派遣 > 訪問者:愛知医科大学 伊藤卓治

国際活動支援報告

2017年12月6日(水)

訪問者:愛知医科大学 伊藤卓治

【派遣報告】Annual meeting for the Society for Neuroscience「Neuroscience 2017」

発表演題名:Visualization of neuromuscular junctions in iPSC-derived disease models for pathophysiological analysis and drug screening
(1)学会報告
 平成29年11月11日から11月15日までの5日間、米国ワシントンD.C.で開催されたSociety for Neuroscience (SfN) に参加しました。神経科学の分野で世界最大規模の学会で、全世界から3万人を超える人々が参加し、世界の潮流を実感できるという意味で非常に有益な学会参加でした。私自身は2年ぶりの出席でしたが、またしても参加者数の多さに圧倒されてしまいました。自身の研究分野の球脊髄性筋萎縮症(SBMA)の発表はわずかしかありませんでしたが、他の運動ニューロン疾患では、筋萎縮性側索硬化症(ALS)の最先端の発表が多く見受けられました。企業ブースも豊富に備わっており、大変興味深い実験機器が多く展示されていました。特に購入予定のオプトジェネティクスに使用する機器の実物がみれたのはよかったと思います。
自身の発表では、iPS細胞分から分化誘導した運動ニューロンと骨格筋を共培養し、NMJの形成をリアルタイムで可視化するシステム構築について発表させていただきました。将来的に多くの運動ニューロン疾患の病態解明やスクリーニングに貢献できると考えています。類似した研究分野の方々から、貴重で建設的な意見や見解をいただくことができました。また、他研究者らの発表から得られたアイデアやディスカッションでの意見を今後の研究に取り入れ、さらに研究を発展させ、日々精進していきたいと思います。

(2)新学術領域研究への貢献
 本研究は、異常タンパク質の蓄積により発症する神経変性疾患のひとつである、ポリグルタミン病の疾患特異的iPS細胞を用いて新たなin vitro疾患モデルを作成し、神経・筋相互作用に着目した新たな病態を解明するものです。本研究において構築した培養システムは、多くの神経・筋疾患の病態解析に応用可能であり、標的となる疾患に対する新たな治療法の開発が期待されます。

愛知医科大学
特別研究助教
伊藤 卓治