新学術領域研究(研究領域提案型) 脳タンパク質老化と認知症制御 国際活動支援班

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国際活動支援報告

2016年11月11日(金)

訪問者:慶應義塾大学 小林 玲央奈

【派遣報告】Society for Neuroscience 2016 annual meeting

発表演題名:Mutated α-Synuclein transgenic marmosets as a novel non-human primate model of Parkinson’s disease.

(1)学会報告
平成28年11月12日から16日までの5日間、アメリカ・サンディエゴで開催された北米神経科学学会(SfN; Society for Neuroscience)に参加させていただきました。SfNは、各地から3万人を超える研究者が参加する、神経科学領域では世界最大規模の学会とされています。そのため、パーキンソン病に限定したものだけでも連日のようにシンポジウムが開催され、ポスターにおいてはパーキンソン病関連のものが毎日50演題以上(5日間でおよそ250演題)もあるという、国内では滅多に経験できない規模を体験することができました。会場での発表以外にも夕方からは領域別の様々なセッションが企画されており、2日目には埋め込み式小型蛍光顕微鏡を用いた神経活動イメージングについての会、3日目には車で20分程のところにあるソーク研究所まで移動し、マーモセット研究に特化した会に参加させていただきました。同領域の研究者の研究発表を聞き、自分の研究に生かす方法を考えるとともに新規のアイディアに富んだ研究ばかりで大変刺激になりました。こういった小さな規模で行われるセッションでは、研究者間の距離も近く、研究者本人から直接話を聞くことができる良い機会となりました。5日目の自身のポスター発表では、パーキンソン病モデルマーモセットの解析内容について発表させていただきました。最終日にも関わらず多くの方が訪れてくださり、次のステップへのアドバイスや他の領域からの見解、最新の研究との融合についてもご提案いただき、有意義なディスカッションをすることができました。特に、国内では数少ない霊長類研究者と多く意見を交わすことができたため、霊長類モデルの可能性を改めて認識しました。
学会が行われたサンディエゴは1年通して温暖で、滞在中の天気も良く過ごしやすい環境にありました。会場はサンディエゴ湾に面しており、ヨットハーバーを望むテラスでは美しい景色も堪能することができました。近くにはソーク研究所やUCSDを始めとする多くの研究所があり、まさに研究するには最適な環境だと実感しました。
最後になりますが、今回このような貴重な機会をいただけましたこと、この場をお借りしまして深く御礼申し上げます。

(2)新学術領域研究への貢献
霊長類を用いた疾患モデルの認知機能解析や睡眠障害の検出方法について知識を深めることができ、今後作製されるトランスジェニックマーモセットの表現型解析に役立つと期待できます。更に病態を促進する方法についても議論することができたため、今回得られた情報を生かし研究の推進に貢献したいと考えます。

慶應義塾大学医学部
生理学教室
訪問研究員 小林玲央奈