新学術領域研究(研究領域提案型) 脳タンパク質老化と認知症制御 国際活動支援班

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国際活動支援報告

2016年11月11日(金)

訪問者:名古屋大学 藤岡 祐介

【派遣報告】Society for Neuroscience 2016 annual meeting

発表演題名:Loss of SFPQ, an intra-nuclear counterpart of FUS causes FTLD-like phenotypes

(1)学会報告
北米神経学会は演題数、参加者数等が国内の他学会とは比較にならないほど多く、タウに関しても毎日何らかの形でシンポジウム、ポスターセッションが開かれるなど例年にも増して盛況であった。世界の潮流、趨勢を肌で実感できるという意味で非常に有益な学会参加であったといえる。私の発表も含め本新学術関連領域からも多数の発表があり、海外からの注目も高く活発な討議が行われていた。新たな視点からの質問も多く今後の研究を進めるうえで参考になる部分が多かった。特に今年はタウの抗てんかん作用等新たな生理機能に着目した発表が散見され、ASOを用いた小児重症てんかん患者への臨床応用を前提に複数のグループが研究発表を行っていた。拙速な印象を受けるものの、海外における研究スピードには圧倒されるが、本邦における研究も比肩するレベルにあることも実感した。着実かつ穴の無い研究が求められており、引き続きA02-1において領域内で各領域研究者らと協力しながら研究を進めていきたい。私自身は11月16日午後にtauopathyiesのポスターセッションで”Loss of SFPQ, an intra-nuclear counterpart of FUS causes FTLD-like phenotypes”という演題名にて発表を行った。最終日のため参加者が少なく来訪者も限られていたが、タウのisoform調節の新規分子としてのFUS,SFPQや、孤発例タウオパチーの上流にFUS-SFPQ interactionの低下がある可能性については、非常に多くの質問をいただいた。Discussionを参考に可能な限り早く論文化したいと考えている。また、北米神経学会には当新学術領域研究に参加されている多くの研究者と食事会を開催することとなったが、交流を深めるとともに、研究会等ではできないような熱い議論をすることができたのも大変有意義なことであったと考える。

(2)新学術領域研究への貢献
A02-1高島グループ内で行っている正常タウisoformの生理的機能に関わる研究発表を行い、質問者と有意義な議論を深めることができ、論文化における問題点、注目すべき点の整理を行うことができた。海外における同領域研究者の着目点や進捗状況を理解することで、国際標準的な研究レベルを目指すことを可能にした。

名古屋大学大学院医学系研究科 神経内科
藤岡祐介