新学術領域研究(研究領域提案型) 脳タンパク質老化と認知症制御 国際活動支援班

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国際活動支援報告

2016年7月21日(木)

訪問者:東京都医学総合研究所 細川 雅人

【派遣報告】Alzheimer’s Association International Conference 2016 (AAIC2016)

Hosokawa A平成28年7月22日から28日までカナダ・トロントで開催されたAlzheimer’s Association International Conference 2016 (AAIC2016)に参加しました。22と23日はAAIC2016のpre-conferenceとして、様々なワークショップが開催されました。その中でも特に印象に残っているのが、バーチャルスライドを使ったBasic Neuropathologyのワークショップでした。アミロイドβやタウのステージング、他の神経変性疾患関連タンパクの蓄積様式に関して、途中で簡単なテストをはさみながら、詳細な説明と討論がなされました。これまで曖昧だった部分の情報が整理でき、非常に有意義なワークショップでした。

24日から始まったAAIC本体は70ヵ国、5000人以上の研究者が集まる大きな学会で、開会のイベントも華々しく、今回はバイオリンの演奏とシルク・ドゥ・ソレイユ(サーカス)の共演でした。Hosokawa BAAICには4年ぶりに参加しましたが、前回の参加時とはプログラムの内容が大きく異なっており、研究の方向転換の速さに驚きました。演題においては、バイオマーカー、ニューロイメージング、Clinical trialの3本柱でかなりの割合が占められており認知症の早期発見・治療の方向へ急速に進んでいることを実感しました。ニューロイメージングとClinical trialのセッションでは立見が出るほど盛況であった一方で、以前は混み合っていたモデル動物のセッションでは空席が目立っていました。

26日にはグラニュリン変異脳におけるタウとα-シヌクレインに関してポスター発表をおこない、各国の研究者と議論しました。世界的に著名な神経病理学者から色々と質問を受けるなど、我々の発表に興味を持つ研究者が予想以上に多かったことが収穫でした。また、各研究者が今回の発表のどの部分に特に興味を持ったか、あるいはどの部分の説明が足りないと思っているかを直に感じ取ることができたので、これらを論文の内容に反映させていきたいと思いました。Hosokawa C
ポスター発表の時間が終わった直後に、トイレに置き忘れたカメラを盗まれる不運に見舞われ、発表時の写真を紛失するという失態を犯しましたが、総合的には内容の濃い1週間であったと感じています(発表時の写真は共同演者に提供していただきました)。
最後になりましたが、平成28年度新学術領域研究・脳タンパク質老化と認知症制御の国際活動支援・短期派遣に採択していただき、心より感謝致します。

東京都医学総合研究所
認知症プロジェクト
主席研究員 細川 雅人