新学術領域研究(研究領域提案型) 脳タンパク質老化と認知症制御 国際活動支援班

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国際活動支援報告

2016年1月13日(水)

訪問者:放射線医学総合研究所 小野 麻衣子

【派遣報告】第10回Human Amyloid Imaging

平成27年度若手研究者の研究成果発表のための短期海外派遣により、平成28年1月13日から15日にかけてフロリダ州マイアミにて開催された第10回HUMAN AMYLOID IMAGING学会に参加しました。
会場
HUMAN AMYLOID IMAGING学会はアルツハイマー病関連疾患において分子イメージング技術、主にPETを用いて病変を生体内で可視化する研究に携わる世界中の研究者が集い、蜜に情報交換を行う学会です。アミロイドβおよびタウのイメージングに関する最先端の研究成果が多数報告され、イメージングにより得られる情報の意義について、毎年白熱した議論が交わされます。
新学術領域「脳タンパク質老化と認知症制御」では認知症に関わる重要な脳タンパク質としてタウを主要な研究ターゲットのひとつにしており、今回の派遣では、PETプローブ[11C]PBB3と[18F]AV-1451([18F]T807)のアルツハイマー病および非アルツハイマー型認知症タウ病変へのin vitroでの結合特性比較に関するポスター発表を行ってきました。 タウの蓄積を生体内で可視化するPETプローブとして[11C]PBB3(放射線医学総合研究所)、[18F]AV-1451(Avid)、THK-5105、-5117(東北大学)が発表されて以来HUMAN AMYLOID IMAGING学会ではタウPETが主要な話題として取り上げられてきましたが、近年それらのプローブにおいてヒトでの実証研究が広く展開されたことを受け、今回の学会では非アルツハイマー型認知症におけるタウPETの有用性、およびタウPETプローブを用いて得られるPET画像の根拠となる基礎的知見が特にホットなトピックのひとつでした。それもあり、同一個体サンプルを用いて2つのPETプローブの様々なタウ病変への結合特性を評価し比較した我々の成果に対しては多くの研究者に興味を持ってもらうことができ、データに関する濃密なディスカッションを行う機会に恵まれました。
小野先生ポスター のコピー
研究成果そのものについて多くの研究者と意見を交わせたこと自体すでに大きな収穫ではありますが、今回特に、他の研究者が成果のどの部分に特に興味を持つのかを知り、その興味に応えつつ自らがアピールしたい成果に耳を傾けてもらうにはどのようにプレゼンテーションするべきかを考えながら発表を行ったことは、成果を論文化する際にダイレクトに生きる非常に貴重な経験となりました。今回の学会参加では全体を通して分野の現在のトレンドを肌で感じることができ、自身が携わる老化脳タンパク質を標的としたイメージングバイオマーカー開発の方向性を考える重要な機会となりました。
 HUMAN AMYLOID IMAGING学会は3日間にわたってマイアミビーチというまさしくリゾートな地で開催されましたが、滞在中はあいにくすべての日で天候に恵まれず、残念ながらイメージしていた美しいビーチを眺めることはできませんでした。
ビーチ
学会前日の夜にマイアミに到着したのですがその日の昼までは晴れ間が見えたようで、美しいビーチの写真は同じく学会に参加していた友人が撮影したものです。天候には恵まれませんでしたがリゾート体験をしてみようということで、学会最終日の夜に友人と、友人の所属するカロリンスカ研究所の研究者たちと、マイアミ観光の中心地と言われるサウス・ビーチに夕食に出かけました。メキシコ料理屋さんで名物のモヒートを飲みながら聞いたカロリンスカ研究所の話題はなかなか意外なもので、その後の立ち並ぶナイトクラブを横目で眺める散歩も大変興味深い体験でした。マイアミという美しい土地で開かれた意義深い学会にご派遣頂き、貴重な体験をさせて頂いたことに心より感謝を申し上げます。

放射線医学総合研究所
分子イメージング研究センター
脳分子動態チーム
小野麻衣子