新学術領域研究(研究領域提案型) 脳タンパク質老化と認知症制御 国際活動支援班

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国際活動支援報告

2016年1月13日(水)

訪問者:東北大学 原田 龍一

【派遣報告】第10回Human Amyloid Imaging

平成26年度「新学術領域研究(研究領域提案型)」脳タンパク質老化と認知症制御の国際活動支援班・短期派遣プログラムのご支援で、2016年1月13日から15日まで米国フロリダのマイアミビーチで開催された「Human Amyloid Imaging 2016; HAI2016」に参加させていただいた。
HAIは近年、毎年マイアミビーチリゾートで開催されている。温暖な気候でNew Year’s Vacationを満喫する人々が散見された。また、会場の裏のビーチからは水色のきれいな海が望める。
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この会議は2007年にアミロイドイメージングの代名詞である[11C]PiBを開発したPittsburgh大学のWilliam Klunk, Chet Mathis博士らが組織して始まった会議である。初回のBostonで開始された会議では会期は一日であったが、今年は二日間半と会期が拡大し、参加者も350人近くと会場は大変賑わっていた。昨年までの内容は、会議の名の通りアミロイドイメージングの解析法、病理との対応、臨床症候との関連、標準化などであったが、今年は10個のセッションのうち8個のセッションがタウイメージングと関連するものであり、明らかに会議の様相が変わった印象であった。
タウイメージング剤としては日本で開発された東北大学/GE Healthcareの[18F]THK5351/[18F]THK5117、放射線医学総合研究所の[11C]PBB3、Avid/Eli Lilly社の[18F]AV-1451 (18F-T807)の他に新規タウイメージング剤としてRoche社(18F-RO6958948)とGenentech社(18F-GTP1)からFirst-In-Humanのデータなどが発表され、タウイメージング剤開発競争が激化していることが伺えた。
筆者は、[18F]THK5351のPET画像の定量化において重要な特性である代謝特性の解明を目的とし[18F]THK5351の代謝物解析のデータを発表したが、現在[18F]THK5351を使用している研究者、これから使用を考えている研究者を中心に興味を持っていただき、有意義な議論をすることができた。
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タウイメージングの発表の中心は米国Avid/Eli Lilly社が開発した[18F]AV-1451を用いたもので、DIAN studyなど家族性ADにおけるタウイメージングやFTD, CBS, PSPなどの非アルツハイマー病のタウイメージングなど様々な興味深い演題があった。その一方で画像-病理相関研究を強調する発表も見受けられた。タウイメージングを今後使用していくにあたって、各トレーサーの特性や性能を理解するための検証研究が必要であると感じ、会場を後にした。

最後に、平成26年度「新学術領域研究(研究領域提案型)」脳タンパク質老化と認知症制御の国際活動支援班・短期派遣プログラムに採択していただき、世界のタウイメージングの現状を知ることができました。この場を借りて関係者の先生方にお礼申し上げます。

東北大学加齢医学研究所ニューロ・イメージング研究寄付研究部門
東北大学医学系研究科機能薬理学分野
原田 龍一