【2024.12.11】
皆様、こんにちは。平成30年卒の梁 泰基です。私は現在、京都大学呼吸器外科で勤務しております。京大に移り早くも1年5ヶ月が経ちましたが、ここでの経験を少しでもご紹介できればと思います。
私が京大に臨床留学することの最たる目的は肺移植及び拡大手術を学ぶことです。
京大は肺移植の"メッカ"であり、移植医療における多くの経験をさせていただいております。まず、1つ目は全国各地から肺移植目的で紹介される患者の適応評価です。呼吸機能評価に加え、随伴する呼吸器感染症の有無、他臓器の状態、原疾患のコントロール等を網羅的に評価し、移植の適応か否かを評価します。これは内科的な側面も多いものの、移植患者の背景を知る上でとても勉強になります。
2つ目は、"メインディッシュ"とでも言いましょうか、移植手術です。1年目は主に脳死肺移植のレシピエント手術に主に第2助手として入り、伊達先生はじめスタッフの先生方の洗練し系統だった手術を学びました。2年目では時に前立ちをさせていただくこともありました。さらには、生体肺移植手術の担当や、左右反転移植(右下葉を左に移植、芳川先生が開発しました)、ハイブリッド肺移植(脳死ドナーと生体ドナーによる移植)も担当しました。また、レシピエント手術だけでなく、脳死ドナーの摘出術に同行及び執刀、採取した肺を移植しやすいように処理する操作、生体ドナーの肺摘出術の執刀等数多く参加しています。
3つ目は、術後管理です。京大では術後管理は自分たちで行います。毎日朝夕の気管支鏡検査、カテコラミン・呼吸器設定の調節、免疫抑制剤の管理や急性拒絶の対応など、毎日張り付き管理しています。また、慢性拒絶患者の入院も担当し、移植後長期の経過も知ることができました。
肺移植件数も増えており毎週のように行っております。ぜひ、医局員の先生方がご見学に来られますことを心よりお待ち申し上げます!
肺移植だけでなく、局所進行肺癌に対する肺移植手技を用いた自家肺移植術、スリーブ区域切除術といった拡大手術、TBLBやBALF等の気管支鏡手技、RFIDを用いた縮小手術等、呼吸器外科診療のレパートリーが豊富で毎日が飛ぶようにすぎる感覚です。学術面も充実しており、指導医の下で臨床研究も行っております。論文化に時間がかかってしまっているものもありますが、引き続き学会発表や論文に繋げていきたいです。また、近いうちに移植認定医や気管支鏡専門医も取得できたらと考えております。
今回が初めての異動ということで、赴任当初はなかなか慣れず、前任地の大垣が恋しいと思う日々も多々ありました。しかし、少しずつ何かができるようになり、京大だけでなく他大学(九州大)の先生と同じ医員として刺激を受けながら時にバチバチと(笑)切磋琢磨しながらとても充実した毎日です。名古屋大学はいよいよ肺移植第1例目を迎えようとしております。帰学し、即戦力になれるよう残りも日々精進して参ります。
「術野外でドナー摘出肺の処理を行う様子」と「病院の窓から望む五山送り火」