【2024.10.30】
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Guten Tag, an alle!
随分と前回の投稿より時間が空いてしまったが、私はこの10月から1か月間、肺移植専門呼吸器内科の先生方と行動を共にしている。これまでは基本、手術手技に特化して肺移植医療を学んできたが、帰国にあたり今後日本では術後の肺移植管理にも精通している必要があるため、部長にお願いしてローテートを開始した次第である。朝7:30からの呼吸器外科全体のカンファレンスに参加後、医局で一杯のコーヒーを飲み皆で週末の出来事など雑談した後に、ICUラウンドに参加する。そこではICUスペシャリストと共に患者の現状と問題点を討議し、今後の治療方針を決めていく。具体的には通常のICU管理、すなわち人工呼吸器からのweaningと離脱、気管支鏡検査、免疫抑制剤の開始・調整や抗生剤治療の変更等を行うが、合併症発生時などはprolonged ECMOの適応や抜去のタイミングの決定、再手術の適応やそれに向けた抗凝固剤の変更等も行う。虚血再灌流障害に伴うARDSに対してECMOをしばらく継続する症例や術後出血に対する再手術例など一つひとつの症例から学ぶことは多い。海外での使用薬剤の適用や用法・用量が異なるため一重に全て日本での医療に応用できるかは別だが、基本的な術後管理に関して大変勉強になっている。その他、肺移植後のフォローアップの外来・気管支鏡検査の見学やコーディネーターと共に肺移植登録前評価の外来見学、2週に1回行われる肺移植適応検討カンファへの参加も出来、包括的に肺移植を学んでいる。ローテ―トしてみると一人の患者さんに対して外科医の他にこれほど多くの職種の人達が関わっていることに気づき、移植医療はやはりチーム医療の最たるものであることを再認識している。ただ日本と異なり海外ではより職種の細分化が進んでおり、私が回っている肺移植専門内科然りICUスペシャリスト然り、それ以外にも外来でNPが抜糸等処置を行っているのを見て、働き方改革がうたわれる昨今日本でも医師の分業を進める効率的なシステム作りが必須ではないかと感じた。
さて12月の帰国に向けてラストスパートといったところである。近頃はまた経験出来ることも多くなり、Explantに関しては1-2年目の若手レジデントと一緒に行って指導医的立ち位置?で参加することも増え、勿論自分で執刀することも大事だが(そして何よりも渇望しているが)これはこれでまた前立ちとしてどうしたら一番レジデントが執刀し易いのか考える良い機会となっている。Implantに関しては肺動脈の吻合などもさせて頂き、少しずつではあるが着実に成長出来ていると思う。こちらで与えて頂いた研究課題も無事、集積と解析を終え、現在1本目の論文を投稿中である。もう一つの論文も最終段階に入っているが、ここまで来るのには大なり小なり苦労が多かった。私のみならずウィーンの先生方も大変だったと思うが、ドイツ語のカルテの解読に時間がかかったりコミュニケ―ションエラーがあったり予定より時間がかかってしまった。ウィーンで御指導頂いた先生方に感謝の気持ちを持って最後まで完遂したい。12月の帰国まで後少し、最後まで一つひとつの症例を大事に貪欲に学んで来たい。
それでは皆さん、Tschüss!
Figure 1. とある勉強会~Hotel Reginaにて~
Figure 2. 勉強会後の上司・同僚達とのディナー
Figure 3. 夜のヴォティーフ教会
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