【2023.08.16】
名古屋大学・呼吸器外科では、学内にあるCALNA(クリニカルアナトミーラボ名古屋)という施設で、ご献体を用いて手術手技トレーニングを定期開催しております。この度、第10回を開催しましたのでご報告いたします。
参加者は見学の医学生、新人呼吸器外科医、中堅、指導医と多彩で、周辺施設からも参加してくれました。1テーブルにつき新人1名・中堅1名・指導医1-2名で構成され、器具は本番と同様のものを用いて行うことができます。トレーニングの準備として、修練医と指導医でその内容について十分協議して臨みます。より充実した本当に上達するトレーニングにするためです。トレーニング後には、達成度と反省点をみんなで報告しあい、またトレーニングプログラムの改善点も協議して次に生かすよう心掛けています。
新人は開胸術を実践し、その後肺動脈の剥離・肺葉切除・胸骨正中切開を習熟しつつ縦隔の解剖を確認します。中堅は、頻度の低くより高い技術を要するアプローチや術中の危険な状況でのリカバリー手技を修練しました。胸腔鏡下手術(VATS)のトレーニングでは、適切なポート配置、脈管剥離、自動縫合器の取り回しを学びつつ葉切除を完遂しました。
指導医が見守りながら、中堅が他施設の新人に基本手技を指導しました。新人にとっては数年後「こんな外科医になりたい」と意欲が増し、中堅にとっては指導する喜びや逆に難しさを感じています。世代を超えて外科医どうしの交流と教育の好循環が生まれていることを実感し、本トレーニングのよい副産物ができ事務局としてはこのうえないよろこびでもあります。
毎回、このような貴重なトレーニングの機会をくださり、全員でご献体に感謝しております。明日以降の安全で根治性の高い手術に活かしてまいります。
ご献体を用いた手術手技トレーニングは、多様な手術手技の教育に有用であることを再確認できました。今後も周辺施設から広く参加を募り、指導医から中堅、そして新人への手技の伝承や外科医間の交流に役立て、手術教育の好循環を目指して今後も継続してまいります。開催にご協力いただきました解剖学教室の先生方、CALNA運営事務局、そしてご指導くださいました芳川豊史教授、事務局の上野陽史先生、ご指導くださった先生方、トレーニング参加されたみなさまにこの場をお借りして御礼申し上げます。
次回開催は2024年2月を予定しております。みなさま奮ってご応募ください。
お問い合わせ:献体を用いた呼吸器外科手術手技トレーニング事務局
中村 彰太、上野 陽史
名古屋大学 呼吸器外科
E-mail:
中村 shota197065@med.nagoya-u.ac.jp