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新着情報

2021.10. 1

名大呼外便りNo.21:病院名が変わりました_八事日赤_羽切周平

 7月1日より名古屋第二赤十字病院から病院名が変わりました。(長いので通称:八事日赤でおねがいします。) 2020年4月より約8年過ごした名古屋大学から八事日赤に赴任し、1年4ヶ月が過ぎました。八事日赤では吉岡部長のもと、3月までは佐藤恵雄先生、4月からは渡邉裕樹先生と3人体制で診療にあたっています。当院の特徴として、日赤という公的病院の立場から災害時には救護班、D-MATまたは国際救援事業などの使命があること、日常臨床では救急外来へ多くの患者が受診し、当科も気胸をはじめ胸部外傷などの患者が多数受診します。現在のコロナ禍においても予定入院や待機手術などの一般診療を縮小してコロナ患者の受け入れを担っています。

                                   

 また当院の特徴として周囲に大学が多く、若年者の気胸患者が多いことが上げられます。そして他院で行っていないホルミウムYAGレーザーを気胸の再発予防に使用しています。ホルミウムYAGレーザーは2100nmのパルスレーザーで生体に対しては切開作用と凝固作用を併せ持ちます。また水への吸収係数が高く、水中でも使えるため、泌尿器科で内視鏡下に尿路結石破砕や前立腺切除に使用することが多いです。我々はこの機器を用いて肺嚢胞周囲の肺表面を焼灼・凝固することで肺嚢胞の再発を予防しています。レーザーの深達度が浅い(0.4mm程度)ため肺実質の損傷は非常に稀で、洗浄水があっても影響を受けないため使い勝手も良いです。当院では肺嚢胞切除+PGAシート被覆にレーザー焼灼を組み合わせて再発予防を行っています。一般的な肺嚢胞切除+PGAシート被覆との比較試験は行っていないので有意性はまだ明らかではありませんが、今後の症例集積と現在行われている名大主導の臨床試験(PATCH-study)の結果を踏まえて評価したいと考えています。

                                

 その他、当院の取り組みとしては、吉岡先生と掌蹠多汗症の手術、データ解析を行っています。これは東名病院(長久手)、愛知医大皮膚科の協力の下、吉岡先生は15年以上前から多汗症の手術を行っており、データの集積、学会・論文発表もされています。今後は新たなエビデンスを発信できたらと思っています。

                                            

 最後になりましたが、大学では先進的な研究や拡大手術などに触れる機会が多く、大変勉強になりました。また中皮腫や胸腺腫の基礎研究を担当させていただき、論文作成に際してはスタッフ皆様にご指導・ご協力いただきました。今思えば大変恵まれた環境にあったと思います。市中病院にて同様な研究は難しいですが、大学で得た経験を今後の診療に活かしていきたいと思います。

                                       

【写真1】                【写真2】

レーザー.jpg2日赤メンバー.jpg

写真1: 八事日赤スタッフ

写真2: ホルミウムYAGレーザー焼灼