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新着情報

2021.01.27

名大呼外便りNo.10:私が大学院で学んだこととお薦めの本の紹介ー門松由佳

名古屋大学医学部附属病院で勤務している医師13年目の門松由佳です。今年は新型コロナウィルスの件で不安や閉塞感を感じる日々ですが、いかがおすごしでしょうか。私はもともとインドア派なので、そう大きくは休日の生活スタイルは変わらないものの、室内ですごす時間がさらに増え、体力が落ちてしまった気がします。

今回は、私の大学院生活の様子とおすすめの本について紹介したいと思います。私は2018年度から3年間、若井建志教授率いる、名古屋大学予防医学教室というところで、疫学研究・予防医学という分野を学んでいました。一旦大学を卒業し、社会人として初期研修を終えても、どこかのタイミングで博士号取得にむけて大学院を志す方は一定数いると思います。研修医のころから「大学へ戻る」「大学院にはいって博士号をとる」という話は聞いていたものの具体的にどういうことなのかわかっていませんでした。実際に大学院の入学試験を受け、授業料を納付し、学生証を手にした時は、「もういい歳なのに学生か・・」と不思議な気持ちになった記憶が鮮明です。「学生証」を手にしたとき、「もしかして携帯料金が学割で安くなるのでは?」と思いましたが、三大キャリアでは「学割」を宣伝しているものの年齢制限があり対象外でした。

さて、肝心の研究内容ですが最初の1年間は統計学についての勉強、データの取り扱い方法、統計解析ソフトについて学んでいました。大学院入学前まで論文を読むのが嫌いでMethodsの呪文みたいなところは飛ばして読んでいた私にとって大変苦痛で、そして大きく成長できた日々でした。統計学や解析ソフトに関連する本を毎月のように購入しました。実際にデータを解析するためには図1のような3ステップが必要で、どれが欠けていても達成できません。

 図1

図2.png

抄読会などで英語論文を読む機会が増えてくると、得体の知れない「統計方法」に出会い苦手意識をもつ場合が多いと思います。(少なくとも私はそうでした。)この時、とっつきやすい薄い教科書を購入するのはお勧めしません。読んでいるときはわかった気がしても、読み終えるとやっぱりわかっていないと思います。回り道かもしれませんが、以下の教科書をお薦めしますのでぜひ読んでみてください。

①医学的研究のための多変量解析 木原雅子著

   :方法論と解析法についての説明が詳しい

②日本統計学会公式認定 統計検定3級対応 「データの分析」/同2級の教科書

   :統計用語について実際に手計算でやってみることで理解しやすくなっています

統計解析について詳しくなると、論文のmethodsを読むのが楽しくなりますし、「結果」だけでなく、「欠損値はどのように処理したのか?」「どうしてこのカテゴリ―分けにしたのか?」など試験デザインの背景と隠された処理に興味がわくようになります。またインパクトファクターの高い雑誌では専門の統計家によるチェックを要求される場合もあります。外科医である私たちはもちろん統計の専門家になる必要はありませんが、あまり不勉強だと専門用語が理解できず何を指摘されているのかわからないという事態におちいる可能性があります。

 まだまだこの分野は勉強中ですが読んでいる論文の解析法や、研究中に困ってしまったことがあれば声をかけてください。解決・・に至らないこともあるとは思いますが、一緒に解決策を模索できればと思います。

図4.png

『菜の花に囲まれて黄色いポストと記念撮影』