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新着情報

2020.09. 2

名大呼外便りNo.6:異文化交流のススメ―水野 鉄也(静岡県立静岡がんセンター)

2年前からご縁があって名古屋・東海地方から200km余り離れた静岡東部地区で単身赴任をしている。名古屋近辺では東海地方とは愛知・岐阜・三重の3県を指すことがほとんどだがここ静岡はたまに「東海」に含まれたり外れたり、関東に近いが関東ではない、宙ぶらりんなところかもしれない。なんでここ静岡に辿り着いたのだろう、とふと思いこれまでの研修、巡りあわせをふりかえった。

大学6年生の実習の際に吉岡洋先生(現名古屋第二赤十字病院部長)にススメられ国立がんセンター中央病院を1週間見学した。岐阜の田舎出身である私は目の前の銀座、築地市場、レインボーブリッジを見てこんなところで若き時代を謳歌したい、と思った。ただレジデントがスタッフにどやしつけられているのを見て、ここはきつそうだ、とも思った。小心者の私は卒後5年目に吉岡先生、横井香平先生(前教授)のススメで見学した東京ではなく千葉・柏に流れて国立がんセンター東病院でレジデント研修に就くことになった。病院の前にはコンビニ、バッティングセンター、だだっ広い公園だけがあり東京・築地とは全く違うところだった。当時は知らずに行ったのだが東病院呼吸器外科は手術・臨床実績が多いのはもちろんだが、国内でも学術的活動が最も活発な呼吸器外科施設の一つであった。様々な背景を持つスタッフ、同期・後輩・先輩レジデント皆が世界を視野に切磋琢磨していた。慣れない私は間もなくホームシック気味となった、が背伸びをしてフラフラになりながらも何とか食らいついて過ごした3年だった(後に他科同僚レジデントなどに聞くと皆同じような状態だったらしい)。今はもう体力的にあのレジデント生活はできない(もうしたくもない)があの時期があったからこそこれまでやって来られたのだと思う。当時指導いただいた科長の永井完司先生がおっしゃっていた「レジデント卒業生の活躍を見るのが一番うれしい」は今も忘れられないお言葉である。今も各地でのレジデント同窓の活躍を拝見しては自分を奮い立たせている。その後は大学院での基礎研究、大学勤務を経て愛知県がんセンターで坂尾幸則先生(現帝京大学教授)から癌研式の思考、手技を教示いただいた。当時の参加した研究会で現上司、レジデント先輩である大出泰久部長にお会いした、そんなご縁である。呼吸器外科の世界は決して広くはないがレジデント研修をきっかけに多様性(人、考え方、お作法など)に接することができたと思う。今も背景の違うスタッフ、レジデントと日々の業務、鍛錬(実際はそんな堅苦しいものではない)を行っている。今年、同門の増田達也先生が加わった。若い元気な先生方にはぜひ交わっていただきたい。静岡がんセンターも選択肢の一つとなれば幸い、と思う。

 

World Conference on Lung Cancer 2019 @ バルセロナにて.jpg

World Conference on Lung Cancer 2019 @ バルセロナにて