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新着情報

2020.08.14

名大呼外便りNo.4:大学院生活と掲載論文の紹介-伊藤俊成

大学院での生活と掲載された論文の紹介をさせていただきます。現在は愛知県がんセンター研究所のリサーチレジデント(若手研究者)兼名古屋大学の社会人大学院生として、日中は研究所で研究に従事し、夕方は適宜大学の講義に出席するという生活を送っています。研究所では衣斐寛倫先生が分野長を務めるがん標的治療トランスレーショナルリサーチ分野に所属し、同分野の細野祥之先生の元で基礎研究を行っています。私が大学病院で働いていた際に細野先生がゼブラフィッシュを用いた癌モデルの研究を講演してくださる機会があり、そのご縁で研究させていただくことになりました。当分野では愛知県がんセンター病院が隣接していることを生かした共同研究や、患者検体の利用などを積極的に行い、がん細胞×モデル動物×患者検体を三位一体となって解析しています。様々なプロジェクトがありますが、私のメインテーマは「癌・精巣lncRNAの転写制御点を標的とした抗癌剤創出」であり、新たな標的治療薬の創出を目的としています。日々マウスや細胞はもちろんのことゼブラフィッシュというメダカに似た魚を使用して腫瘍の研究を続け、研究所での各種勉強会を通して基礎研究者とはこのような生き方なのだというのを日々実感しています。この研究生活からいつかは臨床へと戻る予定ではありますが今後に繋がればと考えています。

話は変わりますが、「日本呼吸器外科学会雑誌34巻5号(2020年7月号)」に論文が掲載されました。タイトルは、「部分肺静脈還流異常と気管気管支を認めた右上葉肺癌切除の1例」です。改めてご指導、ご協力をいただきました先生方に感謝を申し上げます。私事になりますがこの論文が人生初の投稿で、投稿の方法、投稿後の査読などこういうものかと苦労しながら掲載され肩の荷が下りたところです。簡単に内容を説明すると、今後ほぼ遭遇する機会がない稀な症例について、その解剖学的特徴と手術の際の留意点について考察しています。この論文を投稿して感じたのはこのように雑誌掲載という形で世に出し形に残すことの大切さでしょうか。本症例のように人生においてほぼ経験しないであろう症例は、おそらく他にも多数あり、その際に助けとなるのは先人たちの論文でないかと思います。思えば初代名古屋大学呼吸器外科教授の横井香平先生もよく1例1例の症例から学ぶことの大切さを説かれており、珍しい症例の際には予め論文を読み、情報を集め診療に役立てるように指導されておりました。この論文が今後同様の症例に直面した医師にとって、何らかの一助になればと思っております。

写真1:https://www.jstage.jst.go.jp/article/jacsurg/34/5/34_321/_article/-char/ja/

ゼブラフィッシュと私.JPG

写真2:ゼブラフィッシュと私