• 呼吸器外科について
  • 診療案内
  • 入局者募集
  • お問い合わせ

HOME > 新着情報 > 新着情報詳細

新着情報

2020.07.25

名大呼外便りNo.2:4年目医局長のつぶやき -福井高幸

平成29年(2017年)4月より呼吸器外科医局長を務めております福井高幸です。

呼吸器外科医局長は平成29年(2017年)から、「医局長選挙を行うこと、その任期は1年とすること、再選は 妨げないが最長3期までとすること」と内規で決められていますが、昨年、特例で1年の延長が認められ、 私の医局長生活は今年度で4期目となります。

 突然ですが、「入局」って何でしょう?

 最近、若手医師を勧誘したら、「入局ってしないといけないのですか?」と返され、とっさの答えに窮し てしまいました(イマドキの若者が眩しい!)。

 そもそも「医局」とは? ウェブ等で検索すると「大学医学部・歯学部の附属病院での診療科ごとの、教 授を頂点とした人事組織。日本国のみに存在する医師の私的団体で、関連病院等の医師も含めた一大グルー プ組織であることが多い。法令上、予算上位置づけられた組織ではない」などとされています。 当然、「入局しなくてはいけない」という義務などありません。

特に2004年の臨床研修制度開始以来、医局制度には、不本意な人事・様々な協力の要請・封建的な体制などとかくネガティブなイメージがついて回っているようです。しかし医局の良い面に目を向けてみたいと思い ます。

 

 医局の魅力といえば、とにかく「多様な人材の集団である」ということに集約されると思います。若手医 師が1つの領域で研鑽を積むための人的、物的資源が医局とその関連施設には豊富にあります。言い方を変 えるなら、手本となるような意識の高い先輩医師が同じグループにいるということです。技術的な手ほどき だけではなく、医師として、社会人として成長するには、多様な考えの大人たちに触れることが良好な人格 形成において有用だと思います。先輩だけではなく、時には同級生、後輩から学ぶこともあります。また、 単一の施設で経験できる技術や経験は限られていますので、特に若い時期はいくつもの病院で診療経験、社 会経験を積むことが後の成長につながると思います。呼吸器外科で言えば、手術は開胸からロボットまで多 様化しており、肺癌診療も毎年ガイドラインが更新されている状況ですから、どんな立派な病院でも一施設 だけで完結することは困難です。多くの関連病院での研修機会を利用し、同じ志を持った仲間と共に歩む(、、、、、、、、、、、、、、)こ とは大きなメリットです。名大呼吸器外科には多くの関連施設があり、自然に多様な環境で経験を積むこと ができます。

 ちなみに2000年以降に名古屋大学呼吸器外科に新入局された45名の入局時期は平均で卒後4.0年、中央値は2年でしたので、初期研修が終了する頃に入局する先生が多い事になります。ただ最近は、初期研修終了 間際になっても、あるいは後期研修(専攻医など)になっても入局をためらう、保留する先生方を散見します。その理由は、医局に頼らなくても満足行く研修ができているという自負や、慣れた施設から異動したく ない、大学院や博士号に興味がない、などいろいろあるかもしれません。でも、独りでなくて仲間と共に頑 張りませんか?そして、進むべき道を決めたら、入局するのも早いほうが享受できるメリットも多いです。

 まあ、くだけて言えば、医局という組織のメリットに気づき、うまく利用したらよいのではないでしょうか。なんだかんだ言っても、医療技術の提供の多くは単独行動ですから、残りの医師人生を「独り」で歩む 自信ができるその日まで、医局を良い意味で有効利用し、自己研鑽を重ねればよいのです。もちろん、なか にはその気になって教授を目指していただく人が現れることも、医療界、あるいは社会においては必要だと 思いますけど。

 ここまで読んだあなた、「医局に入るのも悪くないな」って思えてきましたか?

 卒後22年目、医局長生活4年目を迎えた呼吸器外科医のちょっと長いつぶやきでした。

IMG_7148.jpg

 

20年来の恩師光冨徹哉先生(現近畿大学教授)と2018年大阪にて。

20代の私は光冨先生から胸部腫瘍外科医としての基本から、手術、研究、礼儀、お酒の飲み方など、さま ざまなご指導をいただきました。