切迫性尿失禁

残尿測定

高齢者では尿排出障害(膀胱収縮障害や下部尿路閉塞)と過活動膀胱による切迫性尿失禁が合併することが少なくない。

抗コリン剤は膀胱収縮抑制作用により、尿排出障害のある例では排出障害を悪化させることがあるので、残尿のチェックを行う。

残尿測定は導尿、あるいは経腹的超音波検査法により行う。

経腹的超音波検査による残尿測定方法

環状断での縦径(a)と横径(b)、および矢状断での前後径(c)を計測

環状断

矢状断

残尿量= a × b × c/ 2 ml

 

尿検査

尿路感染が切迫性尿失禁の原因となることがあるので、尿沈渣・尿培養により尿路感染のチェックを行う。

薬物治療(8) 参照

尿路感染があれば抗菌剤を投与する。

切迫性尿失禁に対して抗コリン剤を投与する。

残尿が50ml以下であれば、オキシブチニン(ポラキス)あるいはプロピベリン(バップフォー)を投与する。

投薬治療中は、排尿状態や残尿について1〜3ヶ月ごとに経過観察する

泌尿器科医紹介

以下のような場合は泌尿器科専門医に紹介する。
  ・有意な残尿を認める時(50ml以上)
  ・抗コリン剤による治療中に残尿の増加を認める時
  ・薬物治療が奏効しない時
  ・難治性尿路感染を認める時
  ・一般医が自身で薬物治療を行いたくない時
  ・泌尿器科専門医の意見を希望する時
  ・その他、泌尿器科専門医受診が必要と考える時